区分所有3度目の法改正に向けて⑱

 第6回会議(3月10日開催)のテーマは、前回止むを得ず後日審議となった、1.「被災区分所有建物の再生の円滑化に係る方策(1)」と2.「団地内建物の再生の円滑化に係る方策(1)、(2)」というもの。

 具体的な検討事項は、前者が被災した区分所有建物の再建等に関する多数決要件の緩和と、大規模一部滅失の決議可能期間の延長であり、後者は、団地内建物の建替えを円滑化するための仕組み、敷地の分割、一括建物敷地売却制度の導入についてである。

 被災マンション再建の詳細は、次の4点に集約して説明される。

 (1)政令で指定された災害で大規模一部滅失した場合、区分所有権及び議決権の三分の二以上で建替え決議ができるとすることにつき、どう考えるか。

 (2)政令で指定された災害により大規模一部滅失をしたマンションに関する建物敷地売却決議、建物取壊し敷地売却決議及び取壊し決議、その災害により全部滅失したマンションに関する再建決議及び敷地売却決議につき多数決要件(ここでは議決要件)の割合を三分の二に引き下げることについて、どのように考えるか。

 (3)政令で指定された災害で大規模一部滅失したマンションに関しては、区分所有権及び議決権の三分の二以上の多数で復旧決議を行うことができるとすることにつき、どう考えるか。

 (4)政令で指定された災害で大規模一部滅失したマンションに関する共用部分の変更決議の多数決割合を、区分所有権及び議決権の過半数または三分の二以上とすることについてどう考えるか。

 といった議論である。(1)から(4)はいずれも区分所有法62条における「建替え決議」の議決要件と連動し関連性が深い。これらを踏まえた議論が要請されるとする。

 62条における平時の建替え決議と異なり、61条「復旧」は緊急性が高い。部会からの流れからすると議決要件はまずは緩和と予測される。が平時の建替え決議が「五分の四以上」(現行法)からすると、「四分の三以上」を超えて「三分の二以上」とまで至るだろうか。部会では、さしたる反対意見は無く、全体ではないにしろ、むしろ過半数にまで引き下げるべきといった意見があったとする。阪神淡路、東日本大震災の経緯からすると、公費解体の期限も重なり、賛否が鋭角にあたる場面だ。

 決議可能期間については現行1年から3年に延長することにつき議論が行われた様子であるが、被災区分所有者にとって1年というのは、重すぎる負担だとし、伸長を望む意見が多いとする。

 団地型マンションの建替えに関する円滑化については、その建替え手法が「棟別建替え」(現行69条)と「一括建替え」(70条)に分かれる。各棟別の決議の緩和、承認決議の緩和、一括建替え決議の緩和、各棟別の決議の緩和が検討されている。

 最後に、団地型マンションの再生の円滑化だが、「敷地分割の仕組みについて」検討に入った模様だ。もし実現化すれば団地型マンションの場合、郊外型が多いものの余剰容積、共有持分権等からすると現行建替えプランの活用がかなり可能な気はするが、巨視的観点からすれば、人口減少の情勢下、爆発的な注目を得るとは思えない。(つづく)

明治学院大学法学部兼任講師・本紙客員編集委員 竹田 智志

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2023年4月号掲載)