区分所有3度目の法改正に向けて⑭

 さて、いよいよ法制審議会区分所有法制部会が1028日に開催された。部会長は、法制研座長を務めた佐久間毅同志社大学大学院教授で、委員は鎌野邦樹早稲田大学大学院教授ほか16名。幹事は研究者ほか、裁判官、法制局、官僚ら13人体制であたる。

 3度目となる区分所有法制の見直しに当たっての検討課題は、(1)区分所有建物の所有者不明化と区分所有者の非居住化傾向が顕著である点、(2)大規模災害の発生可能性の切迫といった背景を重視し、これを基本的視点と位置付けている。

 次に、具体的な検討のコンセプトとしては、1.区分所有建物の管理の円滑化、2.区分所有建物の再生の円滑化、3.被災した区分所有建物の再生の円滑化を図る観点から、区分所有法制の見直しに向けた検討を行うことの必要性をあげる。

 そして考えられる主要な検討項目としては、1–①集会決議を円滑化するための仕組みの構築、②区分所有建物の管理に特化した財産管理制度の整備、③共用部分の変更決議における多数決要件の緩和、④共用部分に係る損害賠償請求権等の行使の円滑化、⑤区分所有者の責務(おそらくは明文の規定の可否)、⑥区分所有建物の管理に関する事務の合理化だ。

 また、2.再生の円滑化方策では、2–①建替えを円滑化する仕組み(要件緩和)、②建替え決議後の賃借権の等の消滅、③区分所有関係の解消・区分所有建物の再生のための新たな仕組みでは、「一棟リノベーション」と呼ばれる新しい手法の導入と併せて、その際の多数決決議の可否も検討課題として俎上にのぼっている。④団地内建物の建替えを円滑化するための仕組みの構築、⑤団地関係の解消・団地内建物の再生のための新たな仕組みの構築が列挙される。

 最後に、3.被災した区分所有建物の再生の円滑化では、3–①被災した区分所有建物の再建等に関する多数決要件の緩和を図る、②大規模一部滅失時の決議可能期間の延長を考えるとするものだ。

 さて読者の皆さんは、どう考えるだろうか。自分の住むマンションの未来の選択肢は、修繕を続け長持ちさせるといった、従来通りの「永続・永住できるマンション」から、住むだけ住んだのだから、もうここまでで「終了」するを選ぶか。このマンションは利便性も高いのだが設備水準が低い。だから新たに「建替え」てと考えるか。

 この法改正の全体像は、自分の住むマンションの今後の選択肢を多彩に彩っていて、しかも規制を緩和するとしている。ありとあらゆるマンションの進むべき道筋を提示し、その選択肢を、これでもかこれでもかと提示しているようにも映る。ほぼ90年代以降、多くの管理組合が包含する課題は「修繕」か「建替え」かの二者択一。それが終了・一棟建替え・一棟リニューアルと、様々な選択肢が用意される。

 では、その上で、Aマンション、B住宅団地は、こうこう然々で、これを選択すべき。この範疇から選択することになるだろうが、これを誰がどうしてアプローチできるのだろう。もちろん、その中心に管理組合がある。でも管理組合が、これらをどう処理できるというのか。逆に組合に向けた至難・厄介とも思われる改正になりはしないか。法の意図する気持ちを早く知りたい(つづく)。

区分所有建物に係る多数決割合(単棟型)出展:法務省HPより

明治学院大学兼任講師・本紙客員編集委員 竹田智志

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2022年12月号掲載)