区分所有3度目の法改正に向けて⑬

 区分所有法制研は今年9月までに「区分所有法制に関する研究報告書」(A4判133頁)をまとめ公表した。また、ほぼ同時に、法務大臣は、「老朽化した区分所有建物の増加等の近年の社会情勢を鑑み、区分所有建物の管理の円滑化及び建て替えの実施をはじめとする区分所有建物の再生の円滑化を図るとともに、今後想定される大規模な災害に備え、大規模な災害により重大な被害を受けた区分所有建物の再生の円滑化を図る等の観点から、区分所有法制の見直しを行う必要があると思われるので、その要項を示されたい」(諮問第百二十四号)とし法制審議会に諮問した。いよいよ三度目の法改正(法案)に向け本格的に始動する。

 まずは同法制研で展開した「たたき台」を整理してみよう。主な内容は、既報と重複するかもしれないが一応書き留めておくと、わが国における区分所有建物において、クローズアップされる喫緊の課題は、築40年を超えるマンションが116万戸を超え、高経年マンションが増加し続ける中で、区分所有者の高齢化も併せて進行する状況にあって、区分所有者の相続を契機とする、区分所有建物の所有者不明化、非居住化の浸透。さらに大規模災害の発生可能性も高まりつつあることを前提とする。

 このような状況下にあって、同法制研では、これらを踏まえつつ、区分所有建物の円滑・適正な管理、建替え実施をはじめとする区分所有建物の円滑・適正な再生、被災区分所有建物の円滑・適正な再生等の検討に入った。

 具体的な検討の過程から浮上してきた課題点は、1)区分所有建物の管理の円滑化を図る方策を挙げ、①集会の決議を円滑化する仕組みとして、多数決要件の緩和・拡大を指摘する。②区分所有建物の管理に特化した財産管理制度として、所有者不明マンションの管理、管理不全マンションの管理制度の確立等の言及が見られた。

 その他、③共用部分の変更決議の多数決(議決)要件の緩和、④共用部分に係る損害賠償請求権等の行使の円滑化、⑤区分所有者の責務、⑥区分所有建物の管理に関する事務の合理化では、ウェブ会議システムの活用等に関する議論の展開があり、⑦団地内の建物の管理を円滑化するための仕組みについて討議。

 2)区分所有建物の再生の円滑化を図る方策では、①建替えを円滑化するための仕組みについて話し合われ、建替え決議の多数決(議決)要件の緩和のほか、②建替え決議等がなされた場合の賃借権の取扱い、建替え決議がされた場合の担保権の取扱いについても踏み込んだ。

 また、③区分所有関係の解消・再生のための新たな仕組みでは、マンションの被災時における復興場面において一部導入された多数決による区分所有関係の解消・再生の仕組み等について、復興場面を超えた解消・再生にも分け入った。④団地内建物の建替え等を円滑化するための仕組みとしては、一括建替え決議の多数決(議決)要件の在り方、建替え承認決議、団地内敷地分割の仕組みにつき検討、団地内建物全部についての一括建物敷地売却制度にも及んだ。

 最後に、3)被災区分所有建物の再生の円滑化を図る方策といった点では、①被災した区分所有建物の再建等に関する多数決(議決要件も含む)要件の緩和、②大規模一部滅失時の決議可能期間の延長、③被災区分所有建物の管理を円滑化する仕組みとして、所在等不明区分所有者等の取扱いにまで議論が及んでいる。

 同法制研は昨年3月末に発足。佐久間毅同志社大学大学院司法研究科教授を座長に、大学教員、実務家、関係団体等からの代表と最高裁、国交省、法務省等関係機関からの関係者を含む20名に近い構成員により、毎月1回から2回、研究会を開催。約1年半にわたる成果として当該報告書をまとめた。

 まずは自由討議を皮切りにスタート、関連団体、自治体、ディベロッパー、弁護士、管理士会、研究者等といった実に幅広い領域からのヒアリング調査を行なった上で、具体的なテーマ毎の議論を展開。さて、この成果が、具体的な法案にどう活かされてくるのか。また国会でどう揉まれてくるのか。今から興味津々でならない(つづく)。

明治学院大学兼任講師・本紙客員編集委員 竹田智志

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2022年11月号掲載)