区分所有3度目の法改正に向けて②

 さて、今年3月にスタートした区分所有法制研での動きを追ってみよう。具体的な法改正は法制審議会で議論されることになるのだろうが、法制研では各課題についてのたたき台づくりが主目的であろうと推察される。

 同研究会は、建替え決議の要件の緩和等に関する議論が、他の区分所有法上の多数決要件とのバランス、集会での決議の在り方など、法制の前提に関わるとして多角的な検討を必要とすることから、建替え決議の在り方を中心としつつも近時の社会経済情勢の変化を踏まえ、関連する区分所有法制の課題につき、その論点、考え方を整理することを目的としている。

 では、検討課題とは何か。まず区分所有法における課題点では、①近年、築後相当年数を経過し劣化したマンションが増加し、併せて今後、区分所有者の多様化や高齢化、相続による区分所有者の所在不明等が予測されコンセンサスがより困難さを増す傾向を示す中で、同法の見直しを検討するというもの。さらに、被災区分所有法についても②同様な見直しの検討が指摘されているとする。

 これらの課題は既に、規制改革実施計画(令2・7・17閣議決定)によって指摘されるところではあるが、ここでは、今後老朽化したマンションが更に増加していくこと。相続により所有関係がより複雑化していくこと。区分所有者が多様化・高齢化していくことを踏まえ、建替え決議において集会に不参加の者を所有者不明とし一定の要件・手続きのもとでコンセンサスの分母から除外することを検討すべきとする。

 また、建替え決議に必要な組合員・議決権の5分の4以上の承認の緩和を挙げ、強行規定とされる同要件の任意規定化等が取り沙汰されている。建替え決議の在り方につき、この見直しによって得られる政策効果、管理に与える影響を探るとしている。

 さらに、今後起こり得る大規模な災害に備え、被災した区分所有建物の再建、取壊し等の決議に必要となる5分の4以上の承認という要件の緩和、一部大規模滅失した場合の敷地売却等に関する決議可能期間の延長等も併せて検討する。

 なお、同研究会は建替え決議等による区分所有者への影響の重大性に配慮すべく、佐久間毅同志社大教授を座長に、法務省、国交省を中心とする関係省庁、法律実務家、研究者、都市計画の専門家らが参加(計18名)、事業者等幅広い関係者を含めた検討の場としている。

 具体の検討事項は、

(1)区分所有建物の建替え決議の在り方(法62条第1項の緩和の是非)、建替え決議要件の緩和(多数決要件の引下げ、所在不明等区分所有者の除外、任意規定化)、団地型区分所有建物の建替えに関する決議要件の在り方、建替え決議以外の決議の在り方、建替え以外の再生手法の導入

(2)被災区分所有建物等への対処(再建決議要件の緩和等、敷地売却決議の期間延長)

(3)その他(民法改正を踏まえた区分所有法制、集会におけるICT活用等)

が挙げられている。(つづく)

※フランス民法第664条からの継受とされる

明治学院大学法学部兼任講師・本紙客員編集員 竹田 智志

集合住宅管理新聞「アメニティ」2021年12月号掲載