身の回りを整理しよう⑪ 仏壇じまい その1

 間もなくお盆休みの時期を迎えます。今年は新型コロナウイルスの影響で、今までのように親類が集まることが憚られるかも知れませんが、この時期だからこそ、「仏壇」のことを考えてみます。

仏壇とは何か

 そもそも仏壇とは何なのでしょうか。

 仏壇を見ると、真ん中には各宗派のご本尊が鎮座し、その両側には各宗派の開祖等を描いた掛け軸がかけられ、他に位牌が置かれています。

 これはお寺を仏壇に見立てたもので、言わば、仏壇が「家」で、その中にご本尊、掛け軸、位牌があることで、各家庭の供養の場として登場し、次第に普及しました。

仏壇が「仏壇」になるには

 この仏壇、そのままでは供養の場になりません。中のご本尊、掛け軸、位牌に「魂入れ(他に開眼法要、開眼供養等)」を行って初めて、供養の場になるのです。

 「魂入れ」は、一般的にはお付き合いのあるお寺の住職に、読経をお願いすることになります。

仏壇引き継ぎに問題発生

 このように家庭で引き継がれてきた仏壇ですが、様々な理由から、引継ぎに問題を抱える人が増えているようです。

 マンションが仏壇を置く間取りになっていないため、実家の仏壇を引き継ごうにも、そのままでは家に置けないというケースや、マンションに置くにも、伝統的な仏壇をそのまま置くのは気が進まないということもあります。また、高齢者向け施設に入るにも、持ち物が制限され、大きな仏壇は持っていけないのです。

 そこで、従来の仏壇を整理し、よりコンパクトなものへ替えることを検討することになります。 一般に「魂入れ」を行った仏壇を整理するには、「魂抜き(閉眼供養等)」が必要とされていますが、「魂入れ」を行うのは、ご本尊、掛け軸、位牌で、仏壇そのものには「魂入れ」をしていません。そのため、ご本尊等はそのままで、入る仏壇を替えるだけなら「魂抜き」は必要ないとされています。

 また、代を重ね、たくさんある位牌をひとつにまとめることもできます。この時は、古い位牌から「魂抜き」を行って、新しい位牌に「魂入れ」を行うことになります。

リビングにも合う現代風の仏壇(写真提供:㈱はせがわ)

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2020年8月号掲載)