災害関連死ゼロの社会を目指す㊹ 2025年12月
救急対応(1)
災害が発生し、その直後又は避難中にケガや体調不良を起こす場合が想定されます。その際に、応急処置として対応できることが求められます。この場合、救助者が守るべき点がいくつかあります。
救助者が守る点
救助者が守るべきこととして次のことが挙げられます。
・救助者自身の安全を確保する。
・周囲の状況を観察し、二次事故(災害)の防止に努める。
・原則として医薬品を使用しない。
・医師または救急隊などに引き継ぐまでの一次救命処置と応急手当にとどめる。
・必ず医師の診療を受けることをすすめる。
・死亡の診断を決して行わない。
また、応急処置を行うためにも、よりよい協力者が必要です。手当の全部を1人で完全に行うことは難しく、お互いに助け合い、傷病者に対してよりよい手当を行うと同時に、周囲の状況に対処するため、よい協力者が必要となります。
傷病者の救出をはじめ、一次救命処置と応急手当、119番通報、AEDなどの資材の確保、搬送、群衆整理など協力を必要とすることが多くあります。
傷病者の管理
では次により具体的なケースを考えていきます。
傷病者を発見したら、周囲の状況把握、傷病者の観察など、次に挙げる対応を行います。
■周囲の状況の観察
倒れている人(傷病者)を発見したら、まず周囲の状況をよく観察します。事故発生時の状況、事故の場所、二次事故(災害)の危険性、傷病の原因、証拠物などについて注意する必要があります。
反応(意識)や呼吸がある場合も、よく見て、声をかけ、直接触れて生命の徴候(意識、呼吸、脈拍、顔色・皮膚の状態、手足の動き)を観察します。手当をするときはもちろん、搬送する場合にも傷病者の安静を確保することが大切です。体位、保温、環境の整備などを考えていきます。また、できるだけ傷病者にきずや血液や吐物を見せないようにし、気持ちを動揺させないようにします。
周囲の状況が悪いときには、傷病者および救助者自身の安全を確保し、十分な手当を行う為、安全な場所への避難を優先させる事もあります。
また、二次事故(災害)の危険があり傷病者に近づくことが困難なときは、無理せず、直ちにその危険を排除できる専門機関や119番に通報します。
次回は救急対応(2)として「医療機関へ引き継ぐまで」について述べていきます。
一般社団法人地域防災支援協会
https://www.boushikyo.jp/
一般社団法人日本環境保健機構
https://jeho.or.jp/