建物Q&A 開放廊下に設置している給湯器の前に扉が付いていているのは何故?(2025年12月号掲載)

 当方のマンションは開放廊下に面しているパイプスペースに給湯器が設置されています。築15年が経ち、給湯器の寿命が来て取り替える住戸が増えてきました。

 先般、ある住戸で給湯器を取り替えようとしたら、給湯器の前に扉が付いていて扉に排気口の穴が開いており、その穴に給湯器の排気口が合うように設置しなければならず色々調整が必要になりました。

 ところがまわりのほとんどの住戸の給湯器の前には扉はなく、何の調整も必要なく設置出来ています。給湯器前の扉の有無は何の基準で決まるのでしょうか?

給湯器扉内設置写真

給湯器標準設置写真

 開放廊下に面するパイプスペースに設置する気体燃料を使用する設備(ガス給湯器)は、火災予防条例の消防署の審査基準に準じて設けられています。

 この基準では、パイプスペースの耐火基準の他に設置場所は開放廊下(外気の開放された廊下)であり、重要な避難経路である屋外階段から2mを超える距離を離した位置に設置する事が基本とされています。

 尚、その緩和基準として給湯器の前面を金属製の扉で覆うことにより屋外階段から2m以内でも設置可能とされています。住戸により屋外階段前に配置されているものがあり、その住戸の給湯器の設置はこの緩和基準に沿って設けられます。

 多分、給湯器の前に扉が着いている住戸の給湯器は屋外階段から2m以内の場所なのだと思います。

給湯器扉内設置図

給湯器標準設置図

NPO日住協協力技術者 一級建築士 山田 俊二

集合住宅管理新聞「アメニティ」2025年12月号掲載