
災害関連死ゼロの社会を目指す㊸ 2025年10月
車中泊避難
自家用車を避難先として利用するのが「車中泊避難」といわれます。但し、災害が起きたときに避難する場合の方法としては「原則徒歩」とされています。一般的に、車での避難は渋滞による逃げ遅れや車への浸水、救助活動への影響などといった二次災害も予想されます。そのため徒歩での移動が難しいなど、基本的には「やむを得ない場合に限る」と考える必要があります。
車中泊避難のメリットのみでなく、いざというときに最適な避難手段を選ぶためにもデメリットを知っておくことが大切です。
メリット
車中泊避難の場合、避難所より周りの目を気にせず、プライベートが確保できます。特に小さな子どもやペットのいる家庭の場合、避難所での生活はかなりの負担といえます。また貴重品の管理が行いやすいというメリットもあります。
デメリット
代表的なのはエコノミークラス症候群(※1)が挙げられます。次に季節により生じる危険があります。例えば夏場であると社内生活では熱中症のリスクアップや食品の腐敗、冬場であれば積雪の多い場所では、車のマフラーに雪が詰まり、排気ガスがさらに取り込まれ一酸化中毒になるリスクが上がるなどが挙げられます。また燃料が不足している場合、エアコン機能が十分使えなくなったり、バッテリーが上がるなどのリスクも考えておかなければなりません。
※1車などの狭い座席に長時間座っていて足を動かさず、食事や水分を十分に取らない状態では、血行不良が起こり血液が固まりやすくなり、その結果、血の固まりが血管の中を流れ、肺に詰まって肺塞栓などを誘発すること
車中泊を選択しない方がよい場合とは
車中泊を選択しない方がよいケースとは、災害で道路が寸断されたときや水害発生時です。これは車に閉じ込められるケースや避難先で駐車スペースが確保できないなどが考えられます。
車中泊避難が避けられない場合
車中泊避難が避けられない場合は、状況判断ができるようにあらかじめ情報収集を行っておきます。さらに一日中車内で過ごさず、外で過ごし体を動かす時間を設ける必要があります。たとえ雨で外に出られない場合も、座ったままできる屈伸運動などに取り組みます。またゆったりした服装を心がけ、こまめに水分を取ることも大切です。
一般社団法人地域防災支援協会
https://www.boushikyo.jp/
一般社団法人日本環境保健機構
https://jeho.or.jp/