違法駐車を取り締まるには? (2005年11月号掲載)

Q.

私たちの団地では違法駐車する車が多くて困っています。緊急車両などが団地内に入れないことも考えられ、重大な問題になっていますので、レッカーで別の場所に移動させることは出来ないでしょうか?

また悪質な常習者の車のタイヤに施錠することは出来ませんか?

 

A.

違法駐車には

1.本来駐車自体が出来ない場所に停めている
2.契約が終了した(ないし存在しない)のに駐車スペースに停めている
二つのパターンがあり、いずれも、違法駐車となります。但し、使用料を滞納しているだけでは違法駐車になるわけではなく、そのような場合は契約を解除する必要があります。

さて、管理組合としては車の所有者に対して車の撤去と(駐車スペースに車を置いているのであればその部分の)明渡しを求めることが出来ます。

管理組合に明渡しを求める権利があっても、裁判上の手続をとらずに勝手に車を処分することは原則として許されません。仮に、裁判所で請求が認められたにも関わらず、撤去しない場合は強制執行をすることができます。

車の場合は車検証に所有者が記載されていますのでナンバーを控えて陸運局に行けば所有者を調べることが出来ます。

ナンバープレートがはずされていて所有者が分からない場合はどうでしょうか?この場合管理組合では調査することは不可能ですから、最寄りの警察などに相談して見て下さい(警察なら車体番号等から調べることが可能です)。所有者が判明しないものについては遺失物として扱うことも可能でしょう。

緊急車両が入れない場合であっても勝手に車を移動させることは原則として違法となると考えるべきです。

所有者が組合員であれば、その者に強く移動を求めることになるでしょう。

それでも移動すらしてくれない場合は前述したように裁判を提起することになります。裁判に要する時間がない場合には仮処分や仮差押えという方法があります。この方法であれば裁判よりも短い時間で結論が出ます(但し、最終的には裁判をする必要が生じます。)。

法的な手続きを取っていては組合員に重大な不利益が生じる可能性が極めて高いという例外的な場合であれば敷地内の安全な場所にレッカーで移動させることが許される(=事後的に責任を問われない)こともあり得ると思います。

但し、どのような場合であれば許されるかは専門家の意見を聞いて慎重に判断すべきでしょう。

なお、常習的に違法駐車を繰り返す車について、施錠を出来るでしょうか?

個人的にはその車の持ち主が組合員であること、規約等で施錠の手続が明確に定められていること、手続の内容、施錠の方法が合理的であること等の一定の要件をみたすのであれば可能であると考えていますが、トラブルになる可能性も高いので実際に行うことは専門家と相談した方が無難でしょう。

回答者:法律相談会 専門相談員
弁護士・石川貴康
(2005年11月号掲載)