建物Q&A 鉄扉の塗装の塗り替えのたびに、扉と枠の塗料が付着し開閉困難になる(2026年4月号掲載)
Q
大規模修繕工事で各所の鉄製の扉の塗装を塗替えましたが、塗装後扉を閉めると扉と枠の塗装が付着し、開閉が困難になり、むりやり開けると扉や枠の塗膜がはがれてしまいます。塗装を補修してもらいますが、しばらくするとまた扉が開閉が困難になり、同じ事を繰り返しています。
塗装の塗り替えを行う度にこのトラブルが再発しています。何か改善策はないのでしょうか?
A
共用廊下などに設置されているメーターBOXの扉や消火栓BOXの扉等で扉と周囲の枠とのクリアランス(すき間)が狭い鉄製の扉類が多く見られます。気密性をあまり期待されない扉なのに、クリアランスが少なく、また不均一で0.5~0.3ミリメートル以下、場所により既に扉と枠が接触しているケースがあります。
扉の塗装は扉正面と共に扉の側面とその周囲の枠の内側面を塗装をします。各側面共①錆止塗装②中塗塗装③上塗塗装の3工程で塗装し、3工程で塗り厚が120μm(=約0.12ミリメートル)位の厚みになります。扉側の塗装と枠側の塗装で合計0.24ミリメートルの塗装が塗られ、塗装は乾燥前は乾燥後の厚みの2倍位あるので、塗り立て時は0.24×2=約0.48ミリメートルとなり、この時点ですき間が狭いところでは塗料同士が接触し付着してしまいます。塗装後、指触乾燥まで扉を閉めず半日程度乾燥させますが、完全乾燥にまで至りません。このため、後日扉を開こうとすると塗膜同士が付着し開閉困難になってしまいます。
このため、塗装施工者は、側面の旧塗膜を全部剥がし塗り替えたり、側面の鉄部材をも削り塗り替えたり、また丁番を調整して対応しています。また、塗装面にタルク粉(滑石の粉末)という粉を塗ったり、マスキングテープを貼ったりして付着防止を試みています。それでも、日が経つと扉や枠の変形ですき間が更に狭くなる箇所が生じて、付着してしまう事があります。いわゆるこれは修繕工事の精度の限界に当たる事象だと思われます。力を入れても開かない扉だけを再調整してもらい、塗装面が擦れて傷が付いても、開けることができれば我慢するしかないと思います。
NPO日住協協力技術者 一級建築士 山田 俊二(2026年4月号掲載)