NPO日住協のマンション居住価値向上支援プログラム 自立管理とビジョンの策定:2026年4月号掲載

NPO日住協の基幹業務

 NPO日住協は、「相談」「研修」「出版」に加え「マンション居住価値向上プログラム」を基幹業務としています。

 管理組合からの相談は様々あり、その対応には、理事経験者による実務者としての視点と経験から、具体的なアドバイスを行なっています。専門性が高い場合は、弁護士や一級建築士などのアドバイスも行なっています。

相談と研修はつながっている

 「相談」からもたらされた管理組合の課題などを「研修」のテーマにし、その解決の糸口を見出してもらうようにしています。それらをまとめ、あるいは研究などの成果物として「出版」をしています。

 「相談」を行なっていると、管理組合から「大規模修繕工事の進め方などのアドバイスがほしい」「設計コンサルタントの選定に力を貸してほしい」といった、具体的な支援の要望が多くあり、17年前に開始したのが「大規模修繕工事支援制度」でした。

 この支援制度はニーズはあるものの、大規模修繕工事に特化しているために、管理組合はNPO日住協の支援以外の、他の大切な施策が抜けることを散見。そこで、管理組合への総合的な支援策が必要ではないかと考え、何度も練り直して取り組んだのが、「マンション居住価値向上支援プログラム」です。

 この支援プログラムの特徴は、管理組合の現状からビジョンづくりまでを、マンションの居住価値というテーマに沿って、できる限りマンション内で共有してもらいながら進めることにあります。理事や委員だけではなく、多くの居住者に参加してもらうコミュニティ重視の居住者参加型の勉強会を開催していくことです。みんなが同じ知識や考え方を身につけることは、とても大切だと考えています。

マンションのビジョンと居住価値

 マンションの「ビジョン」は、単なるスローガンではなく、マンションの「居住価値」を維持・向上させ、主体的な管理を実現するための指針として非常に重要です。

 マンション居住価値向上とは、NPO日住協が提唱している、居住者が「安全・安心・快適」に暮らし続けられるようビジョンを策定し、それに沿ってマンションの質を高める運営を指します。

 一般的に使われる「資産価値(売れる値段)」が市場価格や換金性を重視するのに対し、居住価値は「住み心地の良さ」や「満足度」といった、居住者のマンション生活に寄り添った価値を指します。それによって「愛着のもてる住まい」を実感し、自分たちのマンションを大切に育てようとする善循環が期待できます。

マンション居住価値向上と支援プログラム

 とは言え、居住価値向上を目指したいが難しいと考える管理組合に対して、NPO日住協はその支援プログラムを開発し、支援を始めました。図にある内容を管理組合と一緒になって取り組む、伴走型支援プログラム(有料)で、プログラム中の何を取捨選択するかは管理組合と話し合って決めるオーダーメイドです。

居住価値向上を形成する「3つの管理」            

 マンションは、そこに住む人が多くの時間を家族とともに過ごせる、安全・安心・快適な場所。そのために欠かせない取り組みがあります。

 図をご覧ください。「A運営管理」、「B生活管理」、「C維持管理」の管理組合の3つの管理が居住価値をつくります。それ抜きでは、管理組合運営は前進しません。

 「A運営管理」は、管理組合を運営するための核になる会議体(総会・理事会など)で、主体性や自立管理を進める母体であり、ビジョンや居住価値向上などを企図したり促進させる心臓部とも言えます。長期修繕計画は「C」で活用されますが、「A」で策定・見直しされる性質のものです。

 「B生活管理」は、居住者の生活を含めたルールやマナー、また、コミュニティなど、考え方の異なる人々の規律や方向性など、「D愛着のもてる住まい」づくりには必要不可欠です。日頃から居住者が主体的に、かつ自立管理を行い、コミュニティを意識したマンションづくりを展開することが大切です。そうなっていれば、「談合」や「なりすまし」などの犯罪的行為に侵されることはないと思えます。コミュニティは、マンションのあり方をも決めるほど重要です。

 「C」の維持管理は、建物等の物理的品質(スペック)を維持・向上させ、耐震・防犯・防災性能、断熱・防音性能、構造・寿命を長期的に耐え得る改修や性能向上を含め、質を高めることも考えます。

 それらは、長期修繕計画に反映させておくこと。その前提としてビジョンです。ビジョンを長期修繕計画に反映させることは、単なる建物の維持(修繕)にとどまらず、「新築時以上の性能や居住価値の向上」を目指すために不可欠なプロセスです。

 長期修繕計画の見直しは、豊富な経験と不適切ではない設計コンサルタントに依頼し、管理組合も一緒になって取り組む必要があります。

愛着のもてる住まい=自立を心がける

 3つの管理の建物・設備などの維持管理と運営・生活管理のバランスを考えながらマンションの居住価値向上を目指します。何よりも重要なのは、区分所有者がマンション管理を理解し、能動的に管理組合活動に参加し、みんなと協力し合いながら居住価値向上を意識し、「愛着のもてる住まい」づくりを自ら行うという心がけです。これは築浅のマンションにおいても、築50年を経た団地でも同じことが言えます。

 NPO日住協は管理組合に伴走し、マンションの居住価値向上に努めていきます。

集合住宅管理新聞「アメニティ」2026年4月号掲載