マンション標準管理規約改正〈7〉 共用部分等に係る損害賠償請求権等の代理行使/区分所有者の責務(2026年6月号掲載)

 今月は共用部分等に係る損害賠償請求権等の代理行使/区分所有者の責務について確認する。

共用部分等に係る損害賠償請求権の代理行使

 本項に関係のある標準管理規約の条項は以下の通り。
関係条項
単棟型
 第24条の2
団地型
 第24条の2
複合用途型
 第24条の2

 なお、本項目は、改正必須とされる。

 改正前の区分所有法では、分譲事業者が共用部分に瑕疵のあるマンションを販売した場合、分譲時点の区分所有者は瑕疵の損害賠償請求権を持ち、管理者(例:管理組合理事長)が一括して分譲事業者に損害賠償請求できた。

 しかし、その後、一部の区分所有権が転売された場合、転売された分の損害賠償請求権は、元の区分所有者に属するとされたため、元の区分所有者から、新しい区分所有者に損害賠償請求権が譲渡されない限り、管理者が一括して損害賠償請求できないとされていた。

 そこで、改正区分所有法では、理事長が、区分所有者及び区分所有者であった者の損害賠償請求権等の代理行使をできる旨を確認的に規定した。

 しかし、改正法においても、損害賠償請求等について、旧区分所有者は別段の意思表示をすることが可能とされるととともに、受け取った損害金は、各々が修繕以外の用途に使用することが可能とされたため、規約に、理事長による代理行使を確実に実施できるようにするための措置(理事長による一元的な行使、改正法による「別段の意思表示」の制限)に加え、旧区分所有者が有する賠償金を確実に修繕費用に充当するための規定が設けられた。

 具体的な管理規約への反映が必要な内容は以下の通り。

 ①共用部分等について生じた損害賠償金等の請求及び受領について、理事長が区分所有者及び旧区分所有者を代理すること
 ②共用部分等の損害賠償請求等については、理事長による一元的な行使でのみ行うことができること
 ③区分所有者は、改正法第26条第2項の「別段の意思表示」を行わないこと
 ④損害賠償金等は原則として修繕に充てること

 なお、③のコメントにおいて「このような定めが規約に置かれる前に区分所有権を譲渡し、既に区分所有者でなくなっていた旧区分所有者に対しては、当該規約の効力は及ばない」とあることから、確実に損害賠償金等を修繕に充てるためには、早めの対応が必要となる。

区分所有者の責務

 本項に関係のある標準管理規約の条項は以下の通り。
関係条項
単棟型
 第20条
団地型
 第20条
複合用途型
 第20条

 標準管理規約では、これまでも「区分所有者の責務」規定が設けられてきたが、改正区分所有法においても「区分所有者の責務」が規定されたことを踏まえ、改正区分所有法における規定と、これまでの標準管理規約における「区分所有者の責務」規定の整合を図るよう修正された。

改正区分所有法
(区分所有者の責務)
第五条の二
 区分所有者は、第三条に規定する団体の構成員として、建物並びにその敷地及び附属施設(同条後段の場合にあっては、一部共用部分)の管理が適切かつ円滑に行われるよう、相互に協力しなければならない。

改正標準管理規約
(区分所有者の責務)
第20条
 区分所有者は、管理組合の構成員として相互に協力し、対象物件について、その価値及び機能の維持増進を図るため、常に適正かつ円滑な管理を行うよう努めなければならない。

「区分所有者の責務」とは

 では、区分所有者の責務とは何か。これについて、国土交通省資料では、
区分所有者は、自らの専有部分内だけではなく、管理組合の一員として、建物全体の管理責任を負い、具体的には、

 ○総会での意思決定に参加
 ○(選任された場合)役員としての業務遂行
 ○管理費・修繕積立金の支払い
 ○管理規約・細則等のマンション内のルールの遵守

などが挙げられている。

集合住宅管理新聞「アメニティ」2026年6月号掲載