マンション標準管理規約改正内容について〈4〉 所在等不明者の除外手続き・国内管理人制度を創設:2026年3月号掲載
今月は、所在等不明区分所有者の除外手続き及び国内管理人制度について確認する。
●所在等不明区分所有者除外手続き
本項に関係のある標準管理規約の条項は以下の通り。
関係条項
単棟型
第67条の3
団地型
第77条の3
複合用途型
第72条の3
改正区分所有法では、所在等不明な区分所有者の存在が、総会での意思決定を困難とする場合を想定し、裁判所の決定に基づき、当該所在等不明区分所有者を総会決議の母数から除外できる制度を創設した。
そこで、標準管理規約では、管理組合としてこの制度を活用できるよう、
・理事長(管理者)が、理事会決議を経たうえで所在等不明区分所有者の除外の裁判を請求できること
・理事長以外の区分所有者が請求した場合、管理組合に遅滞なく届け出ることを義務化
・裁判所の決定後に開く総会では、当該所在等不明区分所有者を除いて決議すること
・裁判所への請求に要した諸経費は、当該所在等不明区分所有者に請求できること
が設けられた。
では、どの様な場合が所在等不明となるのか。これは、理事長(管理者)が、住民票など、通常アクセスし得る公簿上の住所等の調査を尽くしても、当該区分所有者がどこに居るのかわからない時が想定されている。
また、除外決定後は、招集通知も送らなくてよいこととされた。
除外の効果
本条項創設の効果として、国土交通省資料では、マンション再生等に係る決議(5分の4以上)が例示されている(別図参照)。現行法では所在等不明区分所有者は、反対と見做され、決議が否決されるところ、改正法では母数が変わり、可決される。

除外の影響 出典:国土交通省資料より抜粋
●国内管理人制度活用に係る手続き
本項に関係のある標準管理規約の条項は以下の通り。
関係条項
単棟型
第31条の3
団地型
第33条の3
複合用途型
第35条の3
昨今、海外に居住する区分所有者が増加しつつあり、管理組合がそれらの人たちと必要な連絡が取れなければ、管理費・修繕積立金等の徴収等、マンション管理に支障を来すおそれがある。そこで改正区分所有法では、国内に住所又は居所を有する者が、海外に居住する区分所有者に変わって専有部分等の管理を担う「国内管理人」制度が創設された。標準管理規約では、区分所有者が国内管理人を選任した場合の管理組合への届出義務の規定を設け、届出書の様式例もコメントに記載している。
では、国内管理人は、何ができるかというと、その権限は改正区分所有法上、以下の様に決められている。
①保存行為
②専有部分の利用または改良を目的とする行為(性質を変えない範囲内)
③集会の招集通知の受領
④集会における議決権の行使
⑤共用部分や敷地、付属施設に関する債務、または規約・集会決議に基づく債務の弁済
また、国内管理人の選任を区分所有者に義務付ける場合は、管理規約で定める必要があり、その規定例もコメントに記載している。
集合住宅管理新聞「アメニティ」2026年3月号掲載