災害関連死ゼロを目指す㉓(2022年6月)

福祉避難所

 災害時に自宅に住めなくなった住民が臨時に生活する宿泊可能な施設を「避難所」と呼びますが、その避難所には一般避難所と福祉避難所があります。ここでは福祉避難所について説明を行います。福祉避難所とは、高齢者や障害者、妊産婦など、避難所の生活において特別な配慮が必要な方とその家族を受け入れるための設備、器材、人材を備えた避難所施設のことをいいます。

福祉避難所の対象者

災害時に一般避難所での生活に支障をきたし、何らかの特別な配慮を必要とする高齢者、障害者、妊産婦、傷病者、乳幼児、病弱者などが対象となります。実際に熊本地震の際に福祉避難所に一般の避難者が押しかけたことにより、本来助けが必要な要配慮者の方々を受け入れることができない事例が生じています。

福祉避難所へ避難するまでの流れ

 福祉避難所はあくまでも、災害時に必要に応じて開設する二次避難所となるため、災害発生当初から開設することは原則としてありません。そのため災害時に、自宅の焼失、倒壊等により生活の場を失った場合は、まずは、最寄りの小中学校などの一般の指定避難所に避難する必要があります。

①大雨や地震などの災害発生時には、身の安全の確保を最優先の上、避難行動をとる。

②発災後直後には福祉避難所は開設していないため、要配慮者の方も災害発生時は一般の避難所へ避難する。

③一般避難所で福祉避難所への避難が必要と思われる方の情報を収集し、その後、福祉避難所へ避難する方を決定し、本人へ連絡がいく。

 

 忘れてはならないことは、福祉避難所は行政が施設の被災状況や受入可能人数等を把握した上で開設するため、まずは公民館や小学校などの避難所へ避難する必要があり、災害発生時に直ちに開設されるものではないということです。

 但し、政府によって福祉避難所としての指定を促進するとともに、事前に受入対象者を調整して、人的物的体制の整備を図ることで、災害時の高齢者や障害者らが自宅から直接避難できる仕組みを本格導入し、要配慮者の支援を強化する方針を固めています。

 

一般社団法人日本環境保健機構
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集合住宅管理新聞「アメティ」477号(20226月)掲載