要除却認定実務マニュアルを策定 国土交通省(2022年1月号掲載)

 国土交通省は、昨年12月15日、「要除却認定実務マニュアル」を策定した。同マニュアルは、2020年6月に成立した「改正マンション建替え等円滑化法」で、要除却認定が耐震性不足以外のマンションにも拡充され、同法が昨年12月20日から施行されることに伴い、要除却認定実務の円滑化のため、認定基準とマンションの調査・判定方法等を具体的に示すために策定された。

拡充対象マンション

 改正法で拡充の対象となったマンションは、耐震性不足を除く以下の4類型のマンションに大別される。
●生命・身体に危険性があると認められるもの(耐震性不足、火災安全性不足、外壁等剥落危険性)
●生活インフラに問題があると認められるもの(配管設備腐食等、バリアフリー不適合)
 以下にそれぞれの要除却認定基準の考え方をまとめた。

火災安全性不足

基準の考え方

 建築基準法令の防火・避難規定の強化は、昭和30~40年代を中心に行われ、これ以前に建てられたマンションの中には、規定不適合のものもある。
 そのようなマンションでは、現行規定に適合するよう改修を行うことが望ましいが、規定によっては、改修による対応が難しいものもある。
 このため、簡易な修繕で規定に適合させることが困難なもの(例 主要構造部【壁、柱、床、梁、屋根、階段】のいずれかが、耐火性能不適合と確認された場合)を対象とし、不適合なものを要除却認定の対象としている。

外壁等剥落危険性

基準の考え方

 簡易な修繕では改善が困難なものとして、鉄筋腐食によるコンクリートの剥落を想定。RC造及びSRC造の建物で、コンクリート剥落の要因となる鉄筋腐食が一定以上進行している可能性が極めて高く、部分的な修繕で対応することが難しい場合、要除却認定の対象なる。
 劣化はグレードA・Bに分けられ、それぞれの事象は以下の通り。
A 鉄筋に沿ったひび割れ、錆汁
B コンクリートの浮き又は剥離、鉄筋露出

劣化グレードA事例写真(国交省資料より)

配管設備腐食等

基準の考え方

 雑排水管・汚水管が、床下のスラブを貫通し、階下天井裏の排水横枝管を通じて共用排水立て管に流される『スラブ下配管』は、階下の専有部分に立ち入らないと修繕できず、修繕の際も、漏水箇所の特定が難しく、天井の広範囲な撤去が必要となる。マンションに長期間住むには、排水計画の見直しが望ましいが、排水管をスラブ上に切り替える際の勾配の確保や、ユニットバス等専有部分の改修状況が各戸で異なるため、改修計画が複雑となり、費用負担も含めて合意形成を図ることが難しいとされている。
 このため、スラブ下配管方式の排水管で、排水立て管に至る2箇所以上の経路で漏水が生じているものが認定対象となる。

漏水箇所の数え方(国交省資料より)

バリアフリー不適合

基準の考え方

 マンションは、バリアフリー法で特定建築物に位置付けられ、建築物移動等円滑化基準への適合の努力義務が課せられている。高経年マンション居住者には高齢者が多いことを考慮し、原則として建物出入口から集会室等又は各住戸までの経路等が、同基準(出入口玄関の幅80㎝以上、廊下幅120㎝以上等)に修繕で容易に対応できない場合、要除却認定の対象となる。

 なお、ここに挙げた基準等は一部のため、詳細は国土交通省ホームページを参照のこと。

集合住宅管理新聞「アメニティ」2022年1月号掲載