直結増圧給水への切り替え工事を検証する

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狭山台第二住宅

(埼玉県・狭山市)

NPO日住協主催による工事事例見学会が7月9日(土)、直結増圧給水方式への切り替え工事を、3月に竣工した狭山台第二住宅にて開催された。

11管理組合から総勢40名が参加し大盛況であった。当日は雨模様の一日であったが、工事見学時には幸いにも雨は止んでいた。

当日は近くの管理組合の工事事例(ガーデンシティ狭山の加圧給水ポンプの更新事例)もプログラムに組まれ、2団地の給水設備改修方法が見学でき、参加者には改修方法の異なる事例を、1日で見学でき大変参考になったのではないだろうか。

狭山台第二住宅管理組合の集会室において、同管理組合理事長から、今回工事への取組みなどが紹介され、続いて2団地の設計・監理を担当した、今井建築設備設計事務所所長・今井哲男氏による「直結増圧給水方式の解説とマンションにおける給水設備の現状」と題しての講演があり、また、2団地の改修工事を行った京浜管鉄工業・の現場代理人から、パワーポイントを用いての2団地の改修時の説明があった。その後狭山台第二住宅の改修現場を見学し、予定時間をオーバーして活発に続けられた。

■狭山台第二住宅管理組合からの説明(理事長談)

数年に渡り協議されてきた、直結増圧給水工事が完成した後、住民から水道の水が美味しくなったとの声が、またお茶をやっている方からも、立てたお茶が美味しくなったと感謝された。

今回の直結増圧給水工事は「設計・監理方式」を導入したが、工事の成功は設計事務所の提案された計画が、シンプルな設計であり狭山市の水道課の意向と一致した設計であったことは大きな要素となっている。

狭山市での大型団地への直結増圧給水は第1号のケースで、市の取り組む姿勢にも並々ならぬものがあり、きつい要求もあったが設計者と管理組合が同席しての事前協議では、ほぼ当方の要望を取り入れてもらうことができた。しかし、市の要望にはできる限り協力をしてきたつもりである。

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柵で囲った給水ポンプ(狭山台第2住宅)

■狭山台第二住宅における直結増圧給水システム切替工事の概要(H17年3月竣工)

 所在地=埼玉県狭山市狭山3-26-2
 住宅規模=5階建11棟・全270戸/1975年旧日本住宅公団分譲

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給水ポンプ内部

改修前の給水方式は、「加圧給水方式」で配水本管から一旦受水槽に貯留した水を加圧給水ポンプで加圧し、各住戸に給水する方式をとっていた。新システムは、これを配水本管からの引込管に直接ポンプを接続する「直結増圧給水方式」にシステム変更を行った。11棟270戸に対して、直結増圧給水ユニットを7台設置。新システムに改修するにあたって、各棟までの配管は全て高密度ポリエチレン管(PE管)で新規に配管し、不要となった既存ループ配管は残置としていた。直結増圧給水方式にしたことにより、既存ポンプ室(約70m2)及びポンプ地下にある地下水槽は不要となったので、管理組合ではこのポンプ室の有効利用を検討している。 後半は近くのガーデンシティ狭山住宅にマイクロバスで移動しての見学

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図1.狭山台第二住宅の改修後の給水システム


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ガーデンシティ狭山

(埼玉県・狭山市)

■ガーデンシティ狭山の加圧給水ポンプ更新工事の概要(平成11年3月改修)

 所在地=埼玉県狭山市北入曽755-1
 住宅規模=11階建1号館250戸、2号館248戸/1983年民間分譲

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給水システムを見学

1号館、2号館とも給水システムは変更せず、ポンプのみ更新した事例であった。ポンプは旧型の陸上ポンプ2台(1台は変速ポンプ、1台はエンジン直結の定速ポンプで1号館、2号館とも同じ)で運転していたが、修理用部品の製造が中止されていて、故障時の修理に対応できないことが懸念されていたため、最新式のインバーター制御方式の給水ユニットに更新した事例であった。インバーター制御方式の給水ポンプは従来のものと比較して、ランニングコストが改善され省エネを達成しているとのことであった。2号館の改修にあたっては、1階にあった給水ポンプを地下室にある受水槽側に降ろすことにより、ポンプ吸引側逆止弁の故障不安からの解消をはかったと、設計者の説明があった。そのために旧ポンプのあった1階床を開口し、地下室に下りる鉄骨階段を設置するなどの改良がなされていた。当日は見学者も鉄骨階段から地下室に下り、受水槽脇に設置されている給水ユニットを見学できた。

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図2.ガーデンシティ狭山の給水システム

<アメニティ新聞275号 2005年8月掲載>