既存マンションのインターネット設備導入事例

NPO日住協埼玉県支部主催による「デジタル放送・通信設備導入セミナー」が3月に大宮ソニックシティビル研修室において開催(本紙(アメニティ新聞)271号に既報)され、NHKさいたま放送局受信技術担当者の「デジタル放送対応型マンション」と題する講演等のほか、みさと第一住宅、グローブコート大宮南中野団地からインターネット設備導入についての事例報告があった。以下、事例報告の要旨並びに報告記事掲載。


みさと第一住宅:外観
■みさと第一住宅の事例

  • 三郷市彦成3-8-23
  • S49年都市再生機構
    (旧日本住宅公団)分譲
  • 5階建26棟688戸

同住宅のインターネット設備導入経緯としては、平成15年9月に中期改善委員会で「IT推進研究会」を設置してブロードバンド化についての情報収集、調査研究を開始。16年1月「高速インターネット接続サービスに関するアンケート調査」実施(表1参照)、2月「高速インターネット接続サービス導入」に関して理事会に提言、5月の通常総会で導入を可決、6月「Bフレッツマンションタイプ導入実行委員会」設置、7月「ケーブル引き込み口」配管工事(JS)、VDSL装置(VH=100)設置工事(日本コムシス)、8月~11月各棟開通。

Q:現在パソコンをお持ちですか?A:持っている67.9%,購入予定あり12.0%,購入予定なし20.1%;Q:インターネットを利用されてますか?A:利用している55.5%,利用予定あり19.6%,利用予定なし24.9%;Q:導入に賛成ですか?A:賛成66.5%,反対4.8%,その他11.0%,無回答17.7%;Q:導入されれば接続しますか?A:接続する52.1%,接続しない9.1%,その他18.7%,無回答20.1%
表1:高速インターネット接続サービスに関するアンケート調査

「Bフレッツマンションタイプ」導入の理由としては、Bフレッツの4種類のタイプの中で、「ビジネスタイプ」「ベーシックタイプ」は光ファイバーを利用者が単独で使用するので、スピードはあるが費用も高い。「ニューファミリータイプ」「マンションタイプ」は光ファイバーを複数の利用者で共有するのでスピードは遅くなるが費用は安い。

また、「ニューファミリータイプ」が室内まで光ケーブルを敷設(最大100Mbps)するのに対し、「マンションタイプ」は棟まで光ケーブルを敷設(最大50Mbps)するが、そこから室内までは電話に使用しているメタルケーブルを使用するので「ニューファミリータイプ」よりスピードは遅いが費用は安い。同研究会では、当初「マンションタイプ」と「ニューファミリータイプ」の併設を考えたが、技術の進歩が早く、今後超高速インターネットの出現の可能性もあり、「マンションタイプ」に満足できない場合には「ニューファミリータイプ」に追加工事も可能であるところから、「マンションタイプ」を導入することにした。

費用については、光ファイバー敷設用配管は環境整備の一環として管理組合が行う。利用者の初期導入工事費並びに利用料(NTT及びプロバイダーとの契約)は受益者負担とすることにした。

なお、ケーブルテレビ(CATV)は提供会社無く、東京電力のテプコシステム、有線ブロードネットワークスは、三郷市はサービスエリア外なので採用不可とした。


■グローブコート大宮南中野団地の事例

  • さいたま市見沼区南中野395
  • H7年(1996年)埼玉県住宅供給公社分譲
  • 4~5階建6棟115戸

CATV既設団地での光ファイバー導入事例

平成12年にケーブルテレビ(CATV)を導入し、その後、住民アンケートの結果「Bフレッツマンションタイプ」を導入した事例として報告者より以下寄稿いただいた。

先を見越したプラン

1999年初夏、これからはインターネット設備が不可欠ということで、理事会は一致して取り組むことになりました。しかし、当時は電話回線を使ったダイヤルアップか光ファイバーを敷設する方法しかなく、後者は多額の費用負担がネックとなりました。

そこで着目したのがCATVです。その当時はまだ、通信設備に関する情報があまりない状態でしたが、「放送はいずれデジタル化する」とも言われはじめ、放送と通信を一度に対応できるのはCATVだけでした。団地内の通信整備導入が不可欠という思いで、CATV業者と折衝を開始。

同時に、居住者の通信に関する実態調査を行い、ニーズの把握も行いました。その結果、多くの居住者がインターネット環境を待っているということでした。

すべてタダ。選択肢を増やす

最初の見積りは1000万円程でした。当時、大宮市内の既存マンションでは、どこも CATVを敷設していないことが判明したので、グローブコート大宮南中野をモデルとする提案をCATV業者にしました。そして、ケーブル敷設及び全住戸の全室にある端子全てを、CATVが使える端子に替えることにしました。また、居住者調査からの予測として30 %の住戸がCATVに加入するとの予測が得られたことが業者の動因となり、工事は始まりました。

つまり、すべてタダでCATVのインフラが整うことになったのです。

居住者側に立ったインフラの整備として、選択肢を増やすべく、1年前(平成16年)にはBフレッツも導入しました。

<アメニティ新聞273号 2005年6月掲載>