区分所有法の一部改正。管理組合の日常的な業務で影響を受ける部分は?(2)(2004年3月号掲載)

Q.

最近区分所有法が一部改正されたとの話を聞きました。管理組合の日常的な業務で影響を受ける部分があれば、教えてください。

A.

前回、共用部分の変更の要件が変わったことを説明しましたが、今回は集会における議決権行使や管理組合における文書の作成について、IT化に対応するための改正が行われていますので、この点について説明します。

今までは規約や集会の議事録は書面による作成が義務付けられていましたが、今回の改正で規約や議事録を電磁的記録によって作成することが出来るようになりました。

このような改正を行った理由はコンピューターやインターネットが普及していることから、書面以外の電磁的記録を利用した規約や議事録の記録化を認めることが区分所有者の便宜にかなうことにあります。このように区分所有者の便宜のための改正ですから、従来通り書面の方法を用いるか、新しく電磁的記録を用いるかは、区分所有者(管理組合)で選択することができ、区分所有法は電磁的記録にすることを強制しているわけではありません。

この電磁的記録について施行規則では「磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したものとする。」と規定しています。磁気テープやICカードのようなものも含まれますが、我々になじみ深いものとしては「フロッピーディスク」や「CDーROM」を念頭に置けば良いでしょう。

では、規約や議事録を電磁的記録で作成した場合その閲覧はどのように行うのでしょうか?この点について改正後の区分所有法35条2項は「規約が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの当該規約の閲覧」を定めています。そして、施行規則ではこの表示の方法について「当該電磁的記録に記載された情報の内容を紙面又は出力装置の映像面に表示する方法」と定めています。具体的には所定の場所(組合事務所等)にパソコンを置いておきプリンター等で打ちだされたものを閲覧させる方法でも良いでしょうし、ディスプレイの画面を見せる方法でも良いことになります。

回答者:法律相談会 専門相談員 弁護士・石川貴康