建物Q&A 第2回目以降の大規模修繕の修繕項目について(2021年2月号掲載)

 第2回目の大規模修繕工事の実施にあたり、修繕項目を検討しています。汚れが目立つ外壁や錆が出ている鉄部の塗装の他に屋根防水・バルコニーや共用廊下の床防水・シーリングの取り替え等は思いつきますが、その他どのような修繕を行うべきでしょうか?玄関扉やアルミサッシの取替はいつ頃行う必要があるのでしょうか?

 建物(給排水・電気設備を除く)の大規模修繕工事では外壁などに発生するひび割れなどコンクリート劣化の補修をメインとし、外壁やバルコニー天井等コンクリート面の塗装や鉄製品の塗装の塗り替え、タイル仕上げがある場合はタイルの浮きや割れの補修、各所の床防水改修やシーリングの取り替えなどが10~15年おきの大規模修繕毎に繰り返し実施される「基本修繕工事」です。

 第1回目の大規模修繕ではこの基本修繕工事だけで済む場合がありますが、2回目、3回目と経年数が増えると共に、修繕項目も増えてきます。

 経年数が20年を過ぎると、色々な金物類(雨樋、金属手摺、換気口、物干金物、郵便受、室名札等)の劣化が進み、部分或いは全数の取り替えが必要になってきます。又、屋根防水の改修が必要になってきます(屋根防水は適切に施工がされていれば工法により20年~30年の耐用が期待でき、大規模修繕毎に全面改修を実施する必要はありません)。

 又、アルミサッシや玄関扉のパーツが劣化し、開閉不良やすき間風が入ってきたりし、パーツの取替が必要な時期でもあります。

 これらが第2回目の大規模修繕工事の際、前記「基本修繕工事」に加えて検討しなければならない修繕項目です。これらの劣化状況を事前の調査で確認し、必要に応じ大規模修繕工事に盛り込むことが必要です。特に足場を要する修繕は漏れの無いようにします。

 玄関扉やアルミサッシの取替については、性能が低下する築30年~40年位(第3回目大規模修繕頃)に実施されるケースが多いようです。

 なお、対震性(大きな地震でドア枠が変形してもドアが開けられる機構)のない玄関ドアは、耐用年数に満たなくても、早めに対震ドアに取り替える事も必要です。又、築40年以降(第3回目あるいは第4回目の大規模修繕)にはバルコニー等の手摺の取り替えなども修繕項目になってきます。サッシの取替や手摺の取り替えは高額な費用がかかることから、長期修繕計画で費用を見込んで修繕積立金額を設定しておく必要があります。

回答者:NPO日住協協力技術者 一級建築士 山田 俊二

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2021年2月号掲載)