屋根防水改修の際に屋根の断熱性能を高くしたい/どうすれば良いでしょうか?(2013年2月号掲載)

マンションの屋根防水の改修を計画しています。最上階の住戸から夏天井面から熱が放射され暑いので防水改修の際、断熱性能を高めて欲しいとの要望が出ています。どのような断熱をすればよいでしょうか?

屋根面の断熱は、主に屋根の防水層に組み込むのが一般的です(古い建物ですと屋根のコンクリートスラブの下に断熱材を入れているケース(内断熱)がありますが、建物の保護上有利である事から断熱材を出来るだけ外部表面に設置する(外断熱)のが主流です)。 又、防水層への断熱材の組み込み方も防水層の下に入れる場合と防水層の上に置く場合があります。防水層の上に断熱材を設けると防水材の熱劣化をも抑制できるメリットがありますが、防水工法により出来ない場合があります。

では、どのくらいの断熱材を防水層に組み込めば良いかですが、「住宅に係わるエネルギーの使用の合理化に関する設計、施工及び維持保全の指針・国土交通省告示第378号」により、関東地方(栃木県を除く)で断熱材の種類(防水に使われる断熱材:ポリスチレンフォーム保温板各種又は硬質ウレタンフォーム保温板各種等)により厚み45mm~70mm位<熱貫流率基準値0.43W/(m2・K)以下、熱抵抗基準値2.0(m2・K)/W以上>が目安です。

この目安より厚いものの方が断熱性能は高まりますが、防水の納まり(パラペットの立上りが確保出来ない等)やコスト高を考慮しなければなりません。※前述地域以外は同告示を参照して下さい。

又、前述断熱性能以下でも良いとお考えの場合、省エネ法(住宅に係わるエネルギーの使用の合理化に関する法律)により、屋根防水の修繕でも、延べ床面積が2000m2以上のマンションで、屋根の1/2以上又は屋根面積が2000m2以上の修繕を行う場合は行政庁に届出が必要です。

届出の際には、前記告示の断熱性能を満たす事が要求されますので要注意です。尚、この届出制度を実施している行政庁とまだ対応していない行政庁がありますので、管轄行政庁(市や区の建築指導課等)に確認が必要です。

回答者:NPO日住協協力技術者
一級建築士 山田 俊二
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2013年2月号掲載)