築31年120戸、5年後の大規模修繕工事では戸当たり150万円不足。積立金値上げは避けたい。どのように対処すればよいか(2010年2月号掲載)

 築31年目の120戸のマンションです。今年度、長期修繕計画の見直しを行いました。今回の見直しでは、経年劣化した建物各部の修繕に加えて、グレードアップ改修や共用部分と密接に関わる専有部分の改修を組み込みました。具体的には、共用部給排水管改修時の専有部同時改修(現状と同様の隠蔽配管)、アルミサッシ改修時の複層ガラス化、屋根防水改修時の断熱性能向上(断熱材厚み50mm)等です。

 この計画の場合、1年後の排水管改修、3年後の給水管改修時には修繕積立金の不足はありませんが、5年後の大規模修繕工事の際には、戸当り150万円程度不足します。25年後には修繕積立金の残高は、戸当り約10万円となります。5年前の見直し時には修繕積立金を1.5倍に値上げしましたが、現在の経済状況を考えると、再度の値上げは避けたいと思います。

 どのように対処すべきか教えてください。

 見直した長期修繕計画を拝見した結果、17年後の第4回目大規模修繕工事の際にも修繕積立金不足が見られますが、25年後には、修繕積立金残高が戸当り約10万円になります。

 このため、長期的には今後修繕積立金の再値上げの検討が必要となります。

 5年後の第3回目大規模修繕工事を修繕積立金を値上げしないで実施する場合は、左記の検討が必要です。

(1)現行の長期修繕計画では専有部給水管と雑排水管の改修時期が異なり、配管更新時の専有部の内装復旧費がそれぞれ計上されているので、給排水管を同時施工することにより内装復旧費を削減する。

(2)専有部給水管の隠蔽配管による改修を露出配管として、内装復旧費の削除によるコストダウンをはかる(区分所有者が現行の給排水管と同様に隠蔽配管を希望する場合は、オプション工事とする)。

(3)アルミサッシは、複層ガラスによる改修を単板ガラスによる改修にする(区分所有者が複層ガラスを希望する場合は、オプション工事とする)。

などが考えられます。

 これらの検討を行っても一時的に積立金が不足する場合には、住宅支援機構等の金融機関からの借り入れを検討します。

回答者:NPO日住協協力技術者
一級建築士 近藤武志
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2010年2月号掲載)