土地への執念 2026-10
人にはどれだけの土地が必要か★これは先号の居住空間とは趣の違う話だ★ある村で人が日の出に出発し日の入りまでに出発点に帰り着けばその人の歩いた線で囲まれた部分が自分のものになるという習わしがあったという★多くの人がこれに挑んだ★しかし少しでも多くの土地をの誘惑に抗しきれないか日没までに帰り成功する人はいなかった★久しぶりにある男が挑戦した★目印の穴を掘りながら歩くほどに肥沃な土地が広がり誘惑にかられたが何とか振り切って沈む太陽と競争で出発点に急いだ★男は村人の喚声のなか出発点に倒れこんだ★あなたは成功したとの村長の声を聴きながら男は死ぬ★これはもとはロシアの民話でトルストイが小説にしたのでよく知られている★オーバーな話だが人の土地への執念をあらわす話として身につまされる。
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2026年10月号掲載)