二重床(フローリング)の遮音性能の話-その1(2012年8月号掲載)

二重床(フローリング)の遮音性能の話-その1-

 専有部分のリフォームで床をフローリングにする際に、下階との騒音トラブル防止のため、床材の遮音性能基準(日本建築学会/L値)を指定している管理組合も多い。しかし、この「L値」は、実際には「推定L値」と呼ばれており、性能基準を的確に表す「L値」とはまるで異なるところに問題があった。現在は問題の多かったこの「推定L値」を廃止して、床材の新たな性能基準にΔ(デルタ)等級が使われている。いずれにしても消費者にはかなり分かりにくい。そこで、管理組合や、これからリフォームをしようとする人の参考になるよう、「L値」と「推定L値」の違いや、なぜ「推定L値」を廃止し、「Δ等級」を使うようになったのか、その背景や問題点等について、防音床材メーカーの担当者に解説していただき、シリーズでお届けする。

トラブルの多かった推定L値は5年前に廃止

 「L値」とは、建物の床で床材の上から直接衝撃を与え、下階で音を測定し、どの程度音が遮られたか(建物全体の性能値)を表した数値のこと。つまり、建物床で実際に測定した数値が「L値」です。
この「L値」の測定は、新築の建物なら下階での測定は容易ですが、人が住んでいる既存の建物で測定するのは現実には難しいことです。

 そこで各床材メーカーは、二重床などの遮音性能を試験室で床材ごとに独自に測定し、数値をカタログに記載しています。しかし、この数値は試験室で測定した結果から、この程度の性能があるだろうという「推定値」のため、「推定L値」と呼ばれ、「L値」とは違うものなのです。

 管理組合が「L45以上」などと指定しているのは、実は「推定L値」のことなのです。
この「推定L値」は平成19年に様々な問題が指摘され廃止となりました。(つづく) (竹村工業株式会社ジャストフロア事業部 竹村仁)

※フローリングには、下地に直接床材を張り付ける「直張り」と、防振脚で支持したパネルの上に床材を載せる「二重床」があります。「直張り」にも「推定L値」が使われ、「二重床」同様現在は廃止されていますが、「二重床」よりも性能のブレが小さかったため、本稿では性能のブレが大きく、問題の多かった「二重床」に話を特化しています。

(2012年8月号掲載)