大学時代の先輩の訃報 2023-5

旅行が好きだったという彼女
今回は予定には無い旅立ち
帰ってきてほしいな

 新緑の季節になりました。吹き渡る風が爽やかです。その風の中、マンションの外階段に飾られた鯉のぼりが元気に泳いでいます。毎年、地元の青年団の方々が子供たちの成長を願って準備して下さいます。仕事で疲れて帰宅した時も、元気になる景色です。鯉に負けない様に、強い風の中でも頑張ろうという気持ちにさせられます。
 さて、三月に久しぶりに大学のゼミの仲間に会った話をしましたが、その時、声を掛けられなかった先輩がいました。ゼミの仲間同士で御結婚された御夫婦で、コロナ前のOB会の時は幹事をしてくださいました。「また元気でお会いしましょう」と約束していました。
 それなのに、その約束は守られないまま奥様の訃報が届けられました。二年先輩で、学生時代から美人で、才能が有って憧れていました。ご主人も素敵な方で、密かに好意がありましたが、お似合いのお二人だったので、私は憧れ続ける事だけしか出来ませんでした。実は、息子の名前に先輩の一字をいただきました。才能豊かに成長してもらいたいとの願いを込めました。
 そんな訳で、感謝をお伝えしたいので、告別式に行かせていただきました。早過ぎる旅立ちです。ご主人の心中を考えると辛い気持ちになります。私自身が主人を亡くした時と重なってしまいます。その時、沢山の友人が見送りに来て下さって、嬉しかったのを思い出します。どれだけ救われたか、感謝の気持ちでいっぱいでした。なので、ただ憧れをいだかせていただいたという縁でしたが、参列させていただきました。生前にもっとお会いしたかったです。
 お二人は、亡くなる六日前まで元気に旅行をされていたそうです。奥様は旅行が好きで、海外も国内も多くの地を訪れたそうです。それもツアーでなく、全てご自分で企画されていたそうです。でも、今回の旅立ちは予定には無かったですよね。帰ってきて欲しいな。

集合住宅管理新聞「アメニティ」2023年5月5日488号掲載)
【つづく】