管理費等滞納問題を再考する⑦所在不明の滞納組合員&未納管理費等請求の訴え!(1)

所在不明の滞納組合員&未納管理費等請求の訴え!(1)

わずかの手がかりを求めて四苦八苦する。手をこまねいていてはならない。督促状を定期的に少なくとも半年単位に内容証明郵便で送付することを忘れないように継続する。これは受取人不明で管理組合に戻ってくるのであるが、その後の重要な「書類」の一翼をなすことになるので、その封書の保管をしておくことが大切である。郵送した日付の記録だけではダメである、戻ってきた付箋の付いた内容証明郵便物そのものを保管するのである。たまって、空しく束になってくるが、紛失させてはならない。<もしかして、郵便物など気にして、本人がこっそり戻ってきて自宅の様子をみているかもしれない>と思って、何か変化があるのではないかと郵送する度に、管理組合に返送されてくるまで、儚い期待をいだいている。戻ってきて、「また、やっぱり」と、ため息をつく。つらい。期待はずれが続く。何も変わらない。結局新たに居所を知るすべなく、他に有効な手段がないまま歳月が流れる。だが、「待つ」のは、5年未満である!

もうお分かりであろう。最高裁判決の時効5年(註13)。管理組合財産を遵守するため未納金も財産であるとの原則に立って、時効5年で滞納管理費等債権を失わないように、時効中断の方策をしておくことが肝心なのである。そのため滞納管理費等支払い請求訴訟を提起することを決断することになろう。本人に未到達の内容証明郵便では時効中断にはならないからだ。 さてどうするか。本人は住所地にいなく、居所不明、郵便物が本人に到達しない現実にあっては、訴状が本人に届かないではないか。しかし時効中断をするために訴訟の提起をして時効中断をしておきたい。この場合、「裁判上の公文書到達」(註14)という方法をとることによって、すすめることになる。

公示送達申立書を管轄の簡易裁判所に提出する。住民票、所在調査報告書、所在不明になる前の最後の居住地現状写真などを参考資料として添付が必要である。所在調査報告書は書式があるので、簡易裁判所書記官に尋ねるとよい。調査事項は

1.居住に関する調査
2.勤務先に関する調査
3.その他の参考事項

にわかれ、逐一記載事項が詳細に指示されている。記載にあたっては実地調査が必須となる項目があるので、近隣の居住者に聞き取りもしなければならない。作成に時間を要する。この調査報告書こそが重要で、公示送達の手段を認められるか否かの鍵である。とにもかくにも公示送達申立書が受理されることが提訴の前提となる。

さて訴状の様式は裁判所に備わっているので、理事長は申立人としてその訴状の様式一式の書類を裁判所書記官に申請、交付を受ける。記載内容の要領は質問すれば、書記官が教えてくれる。記載は独特の裁判所用語であるよう指摘を受ける。

訴状の項目は様式で次のように規定されている。

1.事件名の記入:未納管理費等請求事件とする
2.被告(申立人):住所・氏名・送達場所等の届出
3.被告(相手方):住所は住居所不明と明記し、最後の住所地を書く、氏名を記載
4.請求の趣旨
5.紛争の要点(請求の原因)
6.添付書類:管理組合規約、管理組合通常総会議案書、同総会議事録、管理費等請求明細書、不動産登記簿謄本、以上を各2部。

そして住・居所不明内容証明郵便物として、管理組合から請求書・督促状を内容証明郵便で送付し、受取人不明で返送されてきた郵便物を少なくとも間隔の開いた年月をことにするもの4~5通(これが先に大切に保管しておく必要を明記した意味である)。

 

 

(註13)
平成16年4月23日の最高裁判決参照。
(註14)
民事訴訟上の送達の方法。管轄の裁判所の一定の場所に公示されることによって本人に送達したものとみなされる。

(2006.2)

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