設計監理方式をなぜ採用するのか? (2019年8月号掲載)


マンションの大規模修繕を「設計監理方式」で行いたいと思いますが、今まで当管理組合では設計監理方式を採用してこなかったため、この設計監理方式がどのような長所があるのかを区分所有者に説明しなければなりません。端的な説明方法を教えてください。又、責任施工方式との違いもお願いします。

 


工事を発注する方式として、代表的なものは「設計監理方式」と「責任施工方式」があります。
 「設計監理方式」は、設計事務所に設計及び工事監理を委託し、工事は施工会社に発注する、設計と工事を分離する方式です。マンション修繕工事の場合を前提に話しますと、建物の劣化調査・修繕方針立案・修繕設計・見積依頼代行・施工会社選定支援及び工事監理等を設計事務所に委託します。
 これにより、建物の劣化状況からどのような修繕が必要かを設計事務所に提案してもらい、その中から管理組合の修繕予算の範囲で、優先順位の高い修繕内容を検討・選出し設計してもらいます。その設計書に基づき、複数の施工会社に同一条件で見積を依頼し、見積内容や提出書類やヒアリングで実績・技術者数・現場監督予定者の資質などを確認し、管理組合の担当理事又は委員が設計事務所からのアドバイスや情報もらいながら総合的な評価で1社の施工会社を選定します。また、工事が開始されたら、設計書通りに工事が実施されているか設計事務所が検査(=工事監理)をしながら工事を進めます。
 よって、管理組合が予算内で必要性の高い修繕範囲を明確にでき、同一条件下(統一した設計書に基づく見積)での競争見積によるコストダウンがはかられ、より適切な施工会社を選定し、専門家の検査を受けながらの良質な工事が進められる方式です。
  一方「責任施工方式」は、修繕内容決定も修繕工事も施工会社に依頼する方式です。1社にだけ依頼する場合もありますが、多くは複数の施工会社に見積を依頼しているケースが多いようです。複数の施工会社に見積を依頼する場合は、設計書がないので各社提案型となり、見積内容が様々で比較が困難となります。又、施工会社選定理由も、同一条件での見積金額ではないので、組合員の合意形成が難しくなります。工事の品質も施工会社にお任せとなり、第三者によるチェック機能がないため不安が残ります。
 このため、管理組合での組合員の合意形成が得やすい方式としては、一般的には「設計監理方式」が採用されています。「責任施工方式」は戸建て住宅の工事や企業の建物の工事等で、信頼してまかせられる棟梁や施工会社が知り合いや取引先にいる場合等に採用される方式です。
 尚、設計監理方式には多くの長所がありますが、設計監理する設計事務所の選定を間違えて、昨今問題になった不適切コンサルタントを選定すると、これらの長所は皆無となり最悪な発注方式となります。

 

回答者:NPO日住協協力技術者
一級建築士 山田 俊二
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2019年8月号掲載)

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