給水管ライニング工事後蛇口から砂が出てくる(2015年4月号掲載)

 マンションの給水管のライニング工事を専有部を含め行いました。工事後、一部の住戸から蛇口から砂が出てくるとの訴えがありました。ライニング工事の際、給水管の中に砂を吹き込み錆を研磨したため砂が残っているのでしょうか? 同じ現象が更に他の住戸にも発生するおそれはないのでしょうか?

 

 給水管のライニングは、砂を配管内に吹き込み錆落としを行うサンドブラストという工程の後、エポキシ樹脂をライニングします。この砂が配管の中に残る事は通常は有りません。但し、住戸内リフォームで給水管を一部取替えたりして、リフォーム業者が適切な処理を行っていないと砂が配管内に溜まる場合が有ります。

例えばリフォームで流し台の位置を変更し、その流し台までの給水を床下の既設給水管の途中から分岐し配管した場合、分岐部より先の不要になった既設給水管の先端を塞ぎそのまま残した状態にすると、行き止まりの盲腸のような配管が残置されます。

 入口と出口が必要なライニング工事はこの様な行き止まりの配管では出来ない上、移設した流し台の蛇口からライニングを行うとこの盲腸のような配管内にサンドブラストの砂が吹き込まれ、この配管の先端がふさがっているためそのまま砂が残り、後日蛇口から水道水に混ざって出てくる場合が有ります。この様な行き止まり配管は砂が残されるばかりではなく、水道水も滞留し雑菌の巣になってしまいます。この様なリフォームを行っている住戸が他にあれば、同じように蛇口から砂が出て来る可能性があります。

 この様な事例の他、リフォームで錆の心配のない樹脂製水道管に取り替えているが、メーターボックスの量水器から住戸内に入る古い鉄管だけを残している例があります。古い鉄管の先には樹脂製の水道管が床下でつながっているため古い鉄管のライニングが出来ない(サンドブラストの砂で樹脂製水道管を傷めてしまうため)というケースも散見されます。

このような事のないように管理組合で住戸内リフォーム申請の内容を精査することが重要です。又、ライニング業者に事前調査でこの様なリフォームをした住戸の有無を確認してもらう事が必要です。

回答者:NPO日住協協力技術者 一級建築士 山田 俊二
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2015年4月号掲載)