「マンション購入後、不具合を発見!」(2015年3月号掲載)

マンションの一室を購入して入居後、居室に不具合を発見した場合、売主にどんなことを求めることができますか。

マンションを購入するにあたっては、居室を内覧をした上で購入を決める方がほとんどと思われます。しかし、購入者に建築等の知識があるとは限らず、また時間的な制約もありますから、不具合があるか否かを内覧だけで発見することは難しく、結局、購入後入居してから不具合を見つけるケースが多いと思われます。そのような場合、法は次のような制度を用意しています。

まず、原則的な手当は民法に規定があります。売主の瑕疵担保責任です。売買契約において、買った物に「隠れた瑕疵」がある場合、買主がこれを知らないで買ってしまい、かつ、契約の目的を達することができないときは、買主は売買契約を解除することができますし、契約の解除いかんにかかわらず、損害賠償請求ができます(民法570条、566条)。

「隠れた瑕疵」とは、買主が通常注意していても発見できない欠陥のことです。したがって、居室の欠陥が内覧等では発見できないものであって、その欠陥のために住むことができない状態であれば、売買契約の解除と損害賠償請求ができますし、そこまでひどくなくても損害賠償請求が可能です。これらの権利の行使期限は、欠陥の存在を知ったときから1年です。

ところで、この民法の規定は、任意規定とされていまして、当事者間でこれとは異なる取り決めをすることが可能です。そのため、売主の瑕疵担保責任自体をなくす免責の特約を結ぶことも民法上は許されることになります。しかし、これでは消費者保護の観点から妥当ではありません。そこで、特別法によって消費者の保護が図られています。
例えば、宅建業者が売主になる宅地建物の売買契約では、権利の行使期限を引き渡しの日から2年以上とする特約を除き、民法上の売主の瑕疵担保責任よりも買主に不利な特約は禁止されており、そのような特約は無効です(宅建業法40条)。

また、新築住宅の構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分については、売主は買主に引き渡したときから10年間、瑕疵担保責任を負担し、その内容も、契約解除と損害賠償請求だけでなく、瑕疵修補請求まで認められています(品確法95条)。さらに、その行使期間は、これらの部分以外についての瑕疵担保責任も含め、20年まで伸ばすことも可能です(品確法97条)。

その他、消費者の利益を一方的に害する特約は無効とされていますから(消費者契約法10条)、例えば、売主が宅建業者ではない中古マンションの売買契約においても、民法上の瑕疵担保責任を不当に制限する内容の特約は無効となり得ます。

このような法律に基づく瑕疵担保責任の他、新築分譲マンションでは、アフターサービス規準が定められているケースが大半ですから、この規準に基づいて修補工事を求めることもできます。

回答者:法律相談会 専門相談員
弁護士・内藤 太郎
(2015年3月号掲載)