工事見積書の「諸経費」とは何の費用なのか?(2019年6月号掲載)


 

マンションの大規模修繕工事費の見積もりを複数の施工会社から提出してもらいました。各工種毎の見積もりが記載され、最後に諸経費という項目があります。この諸経費が見積会社毎に大きく異なっています。諸経費とはどういう費用なのでしょうか?又、その金額が見積会社により大きく異なるのは何故でしょうか?

 


 

工事見積書は、直接工事にかかる費用(材料費や職人の労務費、運般費等)と工事をマネージメントする費用で構成されます。諸経費はその内の後者に該当します。
 諸経費は大きくは「現場管理費」と「一般管理費」に分けられ、現場管理費は元請業者の現場監督員の人件費・交通費、工事関係保険料(損害賠償保険・火災保険・瑕疵保険・生産物賠償保険など)、現場事務所でかかる諸雑費などです。一般管理費は建設業を運営するに必要な営業担当社員・経理担当社員・総務担当社員・各役員等の現場監督員以外の人件費や会社の家賃または固定資産税・光熱費・事務用品費・減価償却費等です。又、平成25年から現場作業員への社会保険加入推進の指導の一環とし法定福利費(雇用保険料・健康保険料・厚生年金保険料などの事業主負担分)を工事見積書に明示する事が推奨されたため、諸経費の中に「法定福利費」を計上している場合があります。
 これらの諸経費が施工会社により大きく異なる要因は、現場監督員の配置数や工事保険の加入方法(現場単位保険か年間通しての全工事の保険の配分か)、一般管理費の総工事費に対する率の違いなどが考えられます。又、見積もりを提出する際、自社が採用されることを目指して見積額を少し低額にして提出しようと考え、諸経費を下げて見積総額を調整する場合があるからです。
 一般的に建築工事の諸経費は、上記諸費用を積み上げると、工事額や工事の種類により異なりますが、直接工事費の10~15%位が目安になっています。このため、略算法として直接工事費に一定の率を掛けて諸経費を算出する施工会社もあります。
 尚、建設会社の諸経費率10~15%は、上記直接工事費に対する各種管理費の率から算定されていますが、設計事務所の諸経費率は大きく異なります。設計事務所の売上には、原材料や工事費等が売上原価に発生しないため、上記現場管理費(直接人件費)に対する一般管理費(諸経費)の関係に近く、諸経費率は100%前後になります。諸経費率は定率ではなく、業種により様々です。

回答者:NPO日住協協力技術者

一級建築士 山田 俊二

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2019年6月号掲載)

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