120.見えにくい住宅の地殻変動―分譲マンションが外部環境の変化で翻弄される

持ち家政策重視の日本で年齢別借家率が増大する理由
 昭和50年年から平成25年間の年齢合計持ち家率は変わらないのに、主な家計負担者の年齢別では、25-59歳で持ち家率が低下し、民営借家率は大幅に上がっている。未婚の単身世帯が増加し、結婚しても非正規就業者が増加しているから持ち家取得困難層が増加しているようだ。それで年齢合計では持ち家・民営借家率も大きく変わらないのは、家計負担者の年齢層が、高齢者にシフトしていることによる。高齢になるほど借家から持ち家に転換するのは容易でない。一方同じ借家に居住し続けるのが困難化する。安心して居住し続けられるなら問題ないが、日本の住宅政策は借家人保護に無関心だから、将来への居住不安が膨らむ。高齢になるほど持ち家率が上がるのも、不安の裏返しであろう。先進国の中では特異な現象で、住宅規模と家族人数、世帯収入のミスマッチが生じ易い。

高齢化と社会移動
 東京の人口の1極集中は相変わらず持続しているかに見えるが、全国共通の少子化の進行で都道府県間の社会移動量は激しく減少している。1975年から2015年まえほぼ直線的に移動量は減少しているが、1975年の移動量を100とすると2015年の移動量指数は57で、人口比率でみれば50と半減している。東京都の転入人口も激減しているが、転出人口がさらに減少しているため転入超過が持続しているのだ。東京とまとめているが、1996年以降2013年までの傾向では東京都内の中心11区だけが転出転入人口とも増加する中で転入超過を拡大し、周辺区、多摩地区になると転入転出人口を減少させる中で転入転出人口をほぼ拮抗させている。すなわち都心11区のみが人口超過を拡大させているが、その原因は業務地が都心に集中し、インフラ整備と建物の容積緩和で大量に高層建築を可能にしたことに起因する。ただし、戸建てや長屋住宅を取り壊して、高層化を図るから単身化が激しく、地域全体で無縁社会化が進む。子供がいない世帯が多いから、地方への転出人口をさらに減らす。ところで、地方から転入する学生、29歳以下の若年労働者は住居費が高いから、いきなり都心区居住を選択しにくい。収入を得てから住居費を抑えられる小規模住宅を選択する。おかげで都心区はワンルームマンションだらけだ。自治体としては異常だが、昼間人口の多さがその異様さを隠している。

東京都隣接3県の周辺部の住民の誤解
 周辺の小規模市町村では人口減少が激しく、特に子供が進・学就職した場合に、東京に出て行ったら親元に帰らないと言う嘆きが多い。事実は誤解で、東京都に吸収されているのでなく、県内の大規模都市、特に県庁所在市に人口が吸収されている場合が大半だ。商業区域が広いほど、容積緩和で大量の高層住宅が建ちやすい。
住宅の地殻変動はこれだけでない。住宅の空き家が急増しているのに、なぜ住宅建設の勢いが止まらないのか、なぜマンションの中古価格崩壊が進むか等を今後報告したい。(つづく)


(2018年2月号掲載)