74.郊外に多いパラサイトの中高年化問題/個人の選択の自由とは言え深刻な社会問題だ

 これから未婚者が高齢化する。現在は未婚者でも親兄弟との同居が少なくない。同居比率は地域差が大きいし、さらに年齢で変化する。

 図では東京都の45~49歳の未婚比率であるが都心区で独居が多く、郊外で同居が多い。独居率は郊外では男性の方が女性より高く、都心ブランド地区では女性が男性より高い。都心区では未婚女性のマンション購入率が未婚男性より高い。単身女性の住宅購入の9割近くが分譲マンションである。女性は、もし結婚できたら売るか貸すかして、夫婦で別の家を探せば良いと考える。極めて合理的で自分の将来を拘束しない。男性は戸建て住宅購入率が高い。40歳を超えても将来結婚をすると考えている場合が多いから家族居住が条件らしい。

 年齢別にみると郊外の30~34歳では独居比率は男女とも低いが、女性はさらに男性より低い。女性で30%未満自治体が18に上る。いずれも郡部または郡部に近い市である。45~49歳女性の独居比率30%未満自治体数は7に減る。加齢すると親兄弟がいなくなり単身化する。都心区は30~34歳時で既に独居率が高いから45~49歳に至っても独居率は大きく変わらない。ただし、男性より女性の未婚独居率が高くなる。都心区を選択するから正規従業者が多く所得も高い。

 問題は未婚同居者ほど無職率が高い事だ。親の収入・年金等をあてにして暮らす割合が高いが、親が亡くなった後は年金支給がない。パラサイト生活の延長上に生活困窮が待っている。目黒区の古い駅前マンションの管理組合役員がぼやいていた。 「大学教授だった両親が死んだ後、引きこもりを続けていた息子が一人暮らしとなった。現在50歳近くだが兄弟は居ないらしい。居住者の目を避けて外出するのだが、管理費等の滞納を続けている。管理組合が何度も請求したが効果無し。面会も拒絶される。家の中はゴミだらけだ。精神的問題があるのではと保健所に相談したが、親族以外の申請では診断不可能と拒否された。後見人が居ればいいのだが、当方が勝手に決める訳にいかない」。電気代、瓦斯代は支払っているから生活は可能だそうだ。「どうして何年間も続いているの?」と聞くと、役員は「1年交代だから問題の先送りをしてきた。電気代を長期滞納すれば、電力供給停止になるが、蝋燭生活をされたら、返って不安」とのこと。20代で始まった不就業が一生を決定する場合が少なくない。生き生きと独身生活を謳歌する人がいる一方、ひっそりと近隣や親族からも孤立して生きる人が少なくない。古いマンションならどこでもありそうだ。

 なお、私の職場で天涯孤独と称していた定年直前の未婚男性がアパートで孤独死した。夏だったから発見までの1週間で腐乱死体となった。とりあえず検死の上火葬した。区役所が40年以上会っていない兄さんの連絡先を突き止めたと職場に連絡してきた。職場から兄さんに連絡したら、もう縁を切ったから骨壷を職場で処理して欲しいとつれない返事。ところが数日後退職金の話をした途端、骨壷を即刻引き取りに来た。復縁も金次第である。その後骨壷が電車の網棚に放置されていないかと皆で余計な心配をした。(つづく)

(2014年2月号掲載)
(松本 恭治)