管理費等の時効の中断-「催告」と「承認」 (2004年11月号掲載)

Q.

時効中断の1つの事由である「催告」と「承認」について簡単に説明してください。

 

A.

単に「支払ってください。」というのは「催告」と呼ばれるものでそれ自体には完全に時効を中断する効力はありません。催告の後に6ヶ月以内に訴訟等の裁判上の手続を取らなければなりません。特に注意して欲しいのはこの催告は繰り返すことが出来ないと言うことです。

例えば、Aさんが滞納している管理費が9月30日で時効にかかるとします。

この場合9月29日に催告を行えば、そこから6ヶ月間は時効にかかりませんので例えば翌年の3月1日に訴訟を提起して請求が認められれば、Aさんの管理費は時効で消滅しないことになります。しかし、3月になってもAさんは滞納した管理費を支払わないので、3月1日にAさんに再度催告しても、そこからさらに6ヶ月間の猶予が与えられるわけではないのです。例えば5月に訴訟を提起したら、Aさんの管理費は時効で消滅していることになります。

内容証明郵便を送付することもここでいう「催告」にあたります。内証証明郵便を定期的に送付していれば、時効期間が進行しないと誤解されている管理組合の理事さんもいますので、注意してください。

「承認」というのは、例えば、滞納者が「管理費を30万円滞納しています。」と認める行為をいいます。

前述した「催告」のように6ヶ月以内に裁判上の手続きを取る必要がありませんので、滞納者に債務を承認させることは非常に効果的です。

承認は明示でも黙示でもかまいません。但し、後で承認しことの有無が問題となることがありますので、滞納者から念書を取るなど書面で行うのが良いと思います。支払いの猶予を求めることも「承認」にあたりますから滞納者に「○月○日までに払います。」とか「○月から毎月○円ずつ払います」という趣旨の念書を書かせれば時効を中断することができます。

回答者:法律相談会 専門相談員
弁護士・石川貴康
(2004年11月号掲載)