亡くなったAさんの実弟に管理費の請求はできるのか? (2003年7月号掲載)

Q.

組合員のAさんが管理費を長期間滞納したまま亡くなりました。Aさんは子供もいないようで離婚した後1人で住んでいましたが、九州に実弟のBさんがいることが分かりました。Bさんに管理費を請求することは出来るでしょうか?

A.

管理費の支払い義務を負うのは組合員即ち当該居室の所有権を有している人になります。組合員が亡くなればその居室の所有権を相続した人が組合員となります。

従って、管理組合としては相続人に対して請求を行うことになります。

相続の順序は第1位が子供、第2位が両親、第3位が兄弟姉妹となります。

また、妻は常に相続人となります。Aさんの場合は離婚しているので妻はいないことになり、子供もいませんので、両親が亡くなっていれば弟さんが相続人になります(但し、弟さんが相続放棄をしていれば相続人にはなりません。)。

誰が相続人になっているか?正確に調査するにはまずはAさんの戸籍謄本(Aさんの両親や兄弟の戸籍謄本を取り寄せる必要がある場合もあるでしょう)を取り寄せて確認する必要があるでしょう。

Bさんと連絡が取れるのであればBさんに相続放棄をしたかどうかを確認したら良いと思います。万一、Bさんと連絡が取れなかったり、相続放棄の有無を教えてくれなかったら、Aさんが住んでいた住所地を管轄する家庭裁判所にAさんについて相続放棄がなされているか確認することが出来ます(誰でも確認できるわけではありませんが、管理組合はAさんの債権者ですから、かかる利害関係を証明すれば確認を求められます。)

相続放棄は原則として自分に相続が開始されたことを知ったときから3ヶ月以内にする必要があります。この期間を経過してしまうと原則として相続放棄は出来なくなります。相続放棄がなされていなければ相続人と扱われます。

したがって、Bさんが相続放棄をしていないことが確認できれば請求できることになります。

回答者:法律相談会 専門相談員

弁護士・石川貴康

(2003年7月号掲載)