全住戸専有配管取替の際、解体復旧する仕上材等が住戸により異なるのをどうするか?(2017年12月号掲載)

築40年になる団地です。現在共用部の給排水管の取替と共に専有部の給排水・給湯管も規約を改正し修繕積立金から支出し取替える計画をしています。専有部の給排水管を取替えるには内装を解体したり水場の機器類を移動しなければなりません。

内装や水場の機器は住戸によりリフォームし、様々なものを使っていると思います。この様な場合専有部の工事費はどのように見積もってもらうのでしょうか?

住戸内の給排水管類の取替は、給水管だけなら露出配管での取替方法もありますが、排水管は内装材の解体復旧が必須です。多くは1回の内装材の解体復旧で済むように給排水管・ガス管・給湯管とも同時に取替えを行っています。

この配管取替時に内装解体復旧とともに設備機器の脱着・仮移動が必要になりますが、お問い合わせの通り、各住戸毎に内装材や設備機器は築40年経つとリフォームを行い新築入居時の仕様と多くは様々に変更されていると思います。

この場合には、事前に配管取替範囲の室内内装状況や設備機器の器種に関する全居住者(組合員)にアンケートを行い、内装材料や機器の種類別数量を整理する必要があります。この様にしてもアンケートが全員回答がもらえなかったり回答内容が不明瞭だたりし全体を正確に把握することは出来ません。よって、アンケートの回答での概要比率で仕上や機器を想定し見積を依頼し、実際の工事の際に実態の応じ精算するという方法をとります。よって精算による増額の可能性があるので予備費を予算立てておく必要があります。
また、仕上材にはグレードや色柄に種類が有り、全て対応することは困難ですので、標準グレードを設定し、事前に居住者説明会で説明することも必要です。

脱着設備機器で難関なのはユニットバスです。在来工法による浴室(アスファルト防水の上にタイル張り仕上をした浴室)をユニットバスにリフォームしている住戸も相当数想定されます。ユニットバスは一度解体すると復旧困難なものが多くユニットバスの取替になってしまいます。高額なユニットバス取替を修繕積立金で賄うのは難しく、ユニットバスとしていない居住者からの不満も出て来ます。この場合はユニットバスを解体しないで取替えられる範囲までの配管取替を行い(ユニットバスまわり配管はユニットバスへリフォームした際に取替えている場合が多いので)、その住戸で将来ユニットバスを取り替える際に残った配管の取替を修繕積立金を出資して行ってもらう様にする場合もあります。

この問題は高経年マンションの多くで抱えている問題です。水場をリフォームする際、その部位の給排水管の取替仕様・取替範囲を管理組合で指針を出し、上記の様な問題を軽減したいものです。

回答者:NPO日住協協力技術者
一級建築士 山田 俊二
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2017年12月号掲載)