建物Q&A 自分のマンションは「マンション長寿命化促進税制」の対象ですか?(2023年6月号掲載)

 マンション長寿命化促進税制という税制が創設され、マンションの固定資産税が1/6~1/2の割合で減額されると聞いています。
その対象条件として「築後20年以上が経過している10戸以上のマンション」「長寿命化の大規模修繕工事が実施されたマンション」「長寿命化工事の実施に必要な修繕積立金が確保されているマンション」などが書かれていますが、自分のマンションが対象になるかをどの様に判断したら良いのでしょうか?

 「マンション長寿命化促進税制」とは、高経年マンションにおいて、高齢化や工事費の急激な上昇により、長寿命化工事(屋根防水工事・床防水工事・外壁等塗装工事)に必要な積立金が不足し、適切に行われず外壁剥落・廃墟化を招くのを防止するため、必要な積立金の確保や適切な長寿命化工事の実施を後押しする事が目的で、区分所有者の固定資産税額を減額(長寿命化工事実施の翌年度の固定資産税額を減額割合1/6~1/2に)する施策です。

 このため長寿命化工事が適切に実施出来る管理組合の体制づくりが固定資産税の減額条件で、この中でハードルが高いのは「管理計画認定」を取得する事です。

 「管理計画認定」とは総会や理事会の開催、管理規約の作成、管理費・修繕積立金の確保・居住者名簿の備えなどマンション管理に必要な諸条件が計画されている事を地方自治体が認定する制度です。ところが、地方自治体の大半がこの認定制度の体制ができておらず、認定申請もできない状態である事。今後認定申請ができる様になった場合でも、「長期修繕計画の最終年度に借入金の残高がない事」や「一時金徴収を含めない事」、「修繕積立金額が専有面積当り月額170~235円/平米(マンションの延床面積により異なる・表2参照)以上に改正する事」などが盛り込まれた長期修繕計画が総会の承認を得ている事が必要です。

 尚、諸条件の詳細や認定制度開始時期などは、マンション所在地の地方自治体に確認が必要です。

NPO日住協協力技術者 一級建築士 山田 俊二

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2023年6月号掲載)