建物Q&A 再発する外壁塗装のふくれは防止できないのか?(2022年8月号掲載)

 大規模修繕工事を行って数年経過した頃から、外壁塗装にふくれが各所に発生してきました。中に水を含み、穴を開けると水が流れ出てくるか箇所もあります。大きさも大小様々です。施工会社に直してもらうのですが、同じところや別の所に再発してきます。この原因と防止方法は無いのでしょうか?

 外壁塗装のふくれには、色々な要因がありますが、特に多いのは比較的大きなふくれとなる塗装の裏への雨水の浸入です。塗装の裏に浸入した雨水が塗装裏に徐々にたまり、たまった雨水が太陽熱などで蒸気となり弾力性のある塗装がふくれるのです。

 1970年前半までは塗料は乾くと固くなる塗料が主流でした。それ以降に弾性塗料・微弾性塗料など弾力性のある塗料が開発され、コンクリート外壁などに発生するひび割れを仕上げ塗装表面に伝わらないように塗装に弾力性を持たせひび割れに追従させるようになってきました。このため、塗装の裏に雨水が浸水したときには以前は、塗装が一部剥がれそこから雨水が流出し、ふくれは発生しませんでしたが、上記の通り弾性塗料を採用するようになってから塗膜のふくれが問題になってきました。

 対処方法は塗装の裏に流入する雨水の流入元を探し止水する事です。

 流入元となるのは

 ①サッシなど外壁開口部廻り

 ②金物類の外壁取り付け部

 ③バルコニー等の手摺支柱付根

 ④屋根などの防水面等

 が考えられます。①②は比較的容易に探し出し対処できますが、③は手摺支柱内に入る雨水を止めなければなりません。2020年10月号に掲載したように手摺支柱内への雨水浸水防止工法が確立していません。④も室内に雨漏りはしないが外壁へ漏水する場合があり、その浸水箇所を探し出すのは時間と手間がかかり容易ではありません。

 この様に一度補修すれば再発しない場合(①②)と補修しても再発する場合(③④)とが有り、後者の場合は、支柱に雨水が入らないタイプの手摺への取替えや屋根防水の全面改修が必要になる場合があります。

NPO日住協協力技術者 一級建築士 山田 俊二

集合住宅管理新聞「アメニティ」2022年8月号掲載