玄関網戸は取り付けても良いのでしょうか?(2014年2月号掲載)

 マンションの住戸玄関扉の内側に網戸を付けたいと云うリフォーム申請が管理組合宛に出ています。すでに玄関扉内側に網戸を付けている住戸も多くあります。玄関扉は共用部ですがその室内側(専有部)に網戸を付けることは規約上も問題ないかと思いますが、如何でしょうか?

 確かに玄関扉の内側は専有部であり、そこに網戸を付けることは、住戸内リフォームに当たり一般的な管理規約に触れることはないかも知れません。

 しかし、マンションの玄関扉の大半は、住戸と共用部避難通路とを防火区画する扉です。そのため、開けても強制的に閉まる様にストッパーのないドアクローザーが付けられています。これを常時閉鎖式防火戸と云い、建築基準法や消防法で決められています。もし常時閉鎖機能がないと、住戸で火災が発生したとき、その住民が慌てて戸外に逃げる際、玄関扉をきちっと閉める余裕がなく開け放しにされていまいます。玄関扉が開け放されると、火災の炎や煙が共用部(共用廊下や共用階段)に吹き出し、他への延焼が拡大する上、その住戸の前を通らなければ避難できない他の住戸の住民が取り残されてしまいます。

玄関網戸を付けると云うことは、すなわち玄関扉を開け放し通風を確保するためです。玄関扉を開け放すため玄関扉に飼いものをかったりストッパーを取り付けたりして常時閉鎖機能を阻害する事になります。これは、網戸を付けなくても行われている事例は多いようですが、マンションの安全性を低下させることとなります。特に階段室型マンションではその危険が増大します。以上のことから管理組合が玄関網戸の取付を承認するべきではないと考えます。

回答者:NPO日住協協力技術者 一級建築士 山田 俊二
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2014年2月号掲載)