築31年マンション。耐震調査結果から管理組合としての取り組み方は? (2006年4月号掲載)

Q.

昭和49年に竣工(築31年)した、10階建・鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションです。平成12年に第2回目の大規模修繕工事を実施しましたが、各階住戸内壁の同じ位置にひび割れがあります。耐震性に問題があるのか調査し、調査結果から、今後維持管理を行い住まい続けるのか、建て替えをするのか検討したいと思います。どのようなことを管理組合として取り組む必要がありますか。

 

A.

昭和49年に建設された建物は、新潟地震(昭和39年)、十勝沖地震(昭和43年)の建物被害の結果から、耐震基準が強化され(昭和46年)た建物となっています。この耐震基準は、現在では、宮城県沖地震(昭和53年)や阪神・淡路大地震(平成7年)により、さらに強化され(昭和56年及び平成10年)ています。

耐震診断により、耐震性能上の問題点(建物構造上の弱点)を正しく把握することが必要です。この結果(改修費用、建て替え費用)より、耐震改修するか、建て替えるかの方向性を検討することが必要です。

改修して住み続ける場合は、建物(建築・設備)の現況(劣化状況等)、共用部の修繕項目(耐震補強を含む)と費用、専有部の修繕項目(耐震補強を含む)と費用、建て替えの場合は、建て替え後の建物の床面積(専有・共有部)、事業費(調査設計費、建物解体費、建物工事費、仮住戸の費用等)について知ることが必要です。このためには、改修設計、耐震診断・補強設計等の専門家の協力が不可欠です。

回答者:NPO日住協協力技術者
一級建築士 近藤武志
(2006年4月号掲載)