Q&A 特定建築物の定期調査報告のタイル全面打診の周期(2020年4月号掲載)


 平成20年の建築基準法改正で特定建築物定期調査が厳格化されました。10年を超えている場合3年以内に外壁改修や全面打診調査を行っていないのであれば、外壁改修工事を行うか、指定部位全面打診調査が必要になりました。すなわち13年以内に大規模修繕工事が必要ということでしょうか?


 

 建築基準法12条による「特定建築物の定期調査報告」の調査項目・方法は特定行政庁(建築主事を置く地方公共団体)に定めがある場合はその定めによる(国土交通省告示282号)とされ、地方公共団体により基準が異なります。  

 神奈川県ではマンション(共同住宅)は定期調査報告対象外とされていますが、東京都は調査対象建物となっています。

 その東京都の基準では5階建以上且つ共同住宅の用途に供する床面積の合計が1000㎡を超えるものが対象で、3年毎の報告を義務付けています。  3年毎も、定期調査報告の報告年度が指定され、共同住宅は2021(令和3)年から3年毎(2024年、2027年、2030年、2033年…)が報告年度です。  

定期調査報告の際、「竣工」「外壁改修」「全面打診」等の完了日が属する年度の翌年度から起算して10年目の年度を超える定期調査時に、外壁タイルの全面打診が必要としています。ただし10年目の年度から3年以内に外壁改修等の実施予定がある場合はそれまで先送り可能としています。

 すなわち、例えば2008年に大規模修繕を行いタイルの打診及び補修を行ったマンションは、完了日の翌年(2009年)から10年目(=2019年)を超える年の報告年度(=2021年)までに全面打診が必要となり、その3年以内(10年目から3年=2022年)に次の大規模修繕等を予定している場合はその際に全面打検し報告すればよいとされています。このケースですと10年目が2019年ですが2022年まで先延ばしできることになり、最長13年目毎に大規模修繕工事等タイル打診・補修を行わなければならない事になります。

回答者:NPO日住協協力技術者 一級建築士 山田 俊二

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2020年4月号掲載)

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