理事会と修繕委員会(2013年6月号掲載)

 大規模修繕工事や長期修繕計画の作成に当たり、理事会で対応すべきか、修繕委員会を設置し対応すべきか検討しています。理事の中に建築専門の施設担当理事もいるので理事会だけで十分だとの意見がある一方、理事会には他にやらなければならない役務があるので十分対応できないとの意見があります。大規模修繕工事や長期修繕計画はどのような体制で進めるのが良いのでしょうか?

 理事会の理事は、年次の様々な課題を検討し処理しなければなりません。

 年度によっては、その中に大規模修繕工事の実施や長期修繕計画の見直しなども含まれてきます。

 年次議案に比べ大規模修繕工事の実施や長期修繕計画の見直しはかなりの検討項目が有り、理事会だけですべてを処理するのは相当の負荷となってきます。このため、詳細な検討は諮問機関(修繕委員会等)で検討し、諮問機関から具申してきた検討結果を理事会で確認し、基本方針を決める事が一般的です。

 また、修繕委員も詳細な専門知識を備えているとは限りませんし、費やす時間にも限りがありますので、合わせて修繕の専門家を導入する事も必要です。
 尚、諮問機関ではありますが、修繕委員会は設置の仕方によっては管理組合にとっての重要な機関になります。理事会の理事は1~2年で交代するのが大半で、管理組合やマンションの諸問題を理解した頃には理事退任となってしまいます。一方、多くの管理組合では、修繕委員会は常設ではないが、事ある毎に招集された修繕委員のメンバーは概ね同じで、過去の修繕歴やマンションの問題点などを把握しています。

 このため、マンションの保全に関して、密度が濃く漏れの少ない検討がなされるからです。

 時々、理事会と修繕委員会が対立し、ぎくしゃくしているケースが見られます。多くは修繕委員会が自分たちの方が詳しいのだから、修繕委員会で検討した通り理事会で決議する様強要したり、理事会が修繕委員会を無視し、事を進めたりすることに原因があります。少し手間暇が掛かっても、お互い双方の意見を理解し合い尊重する事が大切です。

 また、修繕の専門家も毎回、競争見積で決めるのではなく、自分のマンションを熟知した専門家を継続的に依頼する方が、より良いマンションの維持保全につながります。

回答者:NPO日住協協力技術者 一級建築士 山田 俊二

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2013年6月号掲載)