有料老人ホームの現状③

 先月は有料老人ホームの一時金を巡るトラブルについて説明した。今月は有料老人ホーム入居時の費用について、もう少し詳しく見ていく。

月額利用料のみで入れるホームが増加

 有料老人ホームには、入居時に一括して一時金を支払い、以後は全く費用負担が無いホーム、一時金と月額利用料を併用するホーム、月額利用料のみのホームがある。
 最近は月額利用料のみの有料老人ホームが増えており、介護付、住宅型いずれも、半分以上のホームが月額利用料のみで入居可能となっている。次に多いのが、一時金と月額利用料を併用するタイプとなっている(公益社団法人全国有料老人ホーム協会「平成25年度有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究事業報告書」より)。
 では、月額のみのホームと併用タイプのホームでは、どちらが費用負担が少ないのだろうか。

入居期間約3年半が目安

 月額のみと、月額と一時金併用の料金プランを用意する有料老人ホームで比較した。
 ある介護付ホームは、月額のみが月17.89万円、併用が、月13.27万円、一時金280万円、初期償却率30%。
 ある介護付ホームは、月額のみが月20.1万円、併用が、月15.1万円、一時金300万円、初期償却率30%。
 月額のみの利用料と併用タイプの月額利用料の差額で一時金を割ると、約5年分の月額利用料を前払いしている。ただし、初期償却分を差し引くと、実質約3年半分の前払い金となる。
 一度、一時金を支払えば、その後の追加負担はないため、併用タイプの場合、割安な月額利用料のみで入居し続けることができる。
 以上から、入居期間3年半を境に、入居期間が長くなれば併用タイプが割安となり、短くなれば、月額のみが割安になると言える。

平均入居期間は約3.8年

 では、有料老人ホームの平均入居期間はどのくらいなのだろうか。
 先の「(公財)全国有料老人ホーム協会」の調査によれば、介護付ホームは約3.8年、住宅型ホームは、約2.3年という結果が出ている。
 このことから、入居期間が短いことが予想される場合(特別養護老人ホームの入居待ち等)は、月額利用料のみを選択し、利用期間が長くなることが予想される(終の棲家として住む)場合は、併用タイプを選択したほうが良いだろう。
 ただし、併用タイプが良い場合でも、手元資金が少ないのに、無理して一時金を支払っては後々の費用負担の不安材料となる。ホームへの支払い以外の費用(医療費、娯楽費等)との兼ね合いも考慮しながら、支払い方法を選択したい。

高齢者向け住宅ニュース

高齢者施設の入居料保証サービスを開始

 SOMPOホールディングスは、11月から、同社傘下の施設に高齢者が入居し、入居費用の滞納が発生した場合、一年分の入居料保証サービスを開始した。
  施設入居時に連帯保証人を立てられない人向けのサービスで、入居者は、月額利用料に数千円上乗せして支払うことで、同サービスを受けられる。

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2016年11月号掲載)