高齢者向け住まい探しのポイント⑤

入居に備えて身の回りの整理を

 高齢者向け住まいが決まったら、最後にすることがあります。それは「身の回りの整理」です。
 入居先の住まいにも私物は持ち込めます。従来と変わらない雰囲気で生活できるよう、できるだけ使い慣れた物を持ち込みたいと思うことでしょう。しかし、新しい住まいの広さは限られています。防災・防犯等の理由から、持ち込みが制限されている物もあります。
 そのため、新しい入居先に持ち込める物を確認し、身の回りの物を整理する必要があります。
 入居先の広さは、元の住まいより確実に狭くなるため、持っていける物より、持っていけない物が多くなります。この時、持っていけない物を迷わず処分できればいいのですが、そうはいかないことが多いようです。
 持っていけない物でも、再利用可能な物は、自治体の「リサイクルセンター(名称は自治体で異なる)」を利用してはいかがでしょうか。粗大ごみで出されたものを手直しして展示・販売するところや、直接再利用可能な物を持ち込み可能なところ、物を「譲ります」「譲ってください」という形で再利用を進めているところなど様々です。 リサイクルセンターの一部を表1にまとたので、お住まいの地域にそのような施設があるか、あればどの様な手続きが必要か確認してみるのも良いでしょう。
 それでも処分するしかない物は、不用品をまとめて引取る専門業者を利用するなどして、時間のかかる物の整理を行いましょう。
 次に「見の回りの整理」として考える必要があるのが、「自宅」です。
 新しい住まいの入居費用に充てるため、自宅を売却あるいは賃貸する時は必然的に自宅の整理を行いますが、特にその必要が無い場合、持っていけない物を残し、空き家のままにすることが多いようです。
 これが後々問題となります。本人が認知症等を発症し、意思の確認ができなくなると、家族は何もできません。さらに本人死亡後、思い出の詰まった家を処分することが忍びない等様々な理由で、遺族が長期間、空き家をそのままにしておくということも起きています。
 そのため、本人が意思表示ができる間に自宅の処分方針を明確にし、家族の協力も得て実行に移しましょう。
 高齢者向け住まい探しは、人生の終い方の準備をする作業とも言えます。後顧の憂いを無くすためにも、身の回りの整理を行いましょう。

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2015年11月号掲載)