自分を大切にしようー人生100年時代を健康に生き抜くために⑥
運動を考える①
今月からは運動について考えていきます。
ネガティブは続かない
「適度な運動」が健康維持に必要なことはよく言われますが、「それはわかってるけど、なかなかできない」という人が多いのではないのでしょうか。あるいは、運動に取り組んではみるものの、それが続かないという人も多いと思われます。
物事を継続できる要件は様々ありますが、その一つに「楽しいから」ということが挙げられます。
しかし、日本人の運動観は、学校体育や部活動のイメージが強いようです。「やらされている」、「きつい練習」というように、ネガティブなイメージと一緒に語られることが多く、これは「楽しい」とは真逆のイメージです。これでは続かないのも仕方がありません。
「楽しい」から継続できる
通常、「運動」は家事や仕事等が無いときの「余暇活動」として行われます。せっかくの余暇が「やらされている」「きつい」ことだけだったらどうでしょう。やはり「楽しい」からこそ継続できるのです。
そこで、何に楽しみを感じるか考えてみましょう。みんなでやることが楽しいのであれば、例えばウォーキングサークルに所属することが考えられます。あるいは、一人でじっくり取り組むのが楽しい人は、水泳が良いかも知れません。
自分が何を楽しいと感じるか、何に価値を感じるかを考え、それを運動に取り入れてみましょう。
時間が無い人は日常生活の強度を上げる
運動ができない理由に、「時間が無い」という理由もあります。実は、これが一番多い理由なのです。日常の家事や仕事、介護等に追われ、余暇が取れない人はどうすればいいのでしょうか。
この場合、日常生活の活動自体をエネルギー消費が多いものにしていくことで、運動と同様の効果に変えて行きます。
METS(メッツ:運動強度)という単位があります。これは安静時(座っている状態)を1METSとして、様々な活動が、その何倍のエネルギーを消費したかを示しています。
これを日常生活に当てはめると、普段エレベーターを使うところを、ゆっくり階段を上がれば4METS。これは水中ウォーキングよりやや低い強度です。階段を速く上がれば8・8METS。これはサイクリングよりも高い強度になります。
掃除機掛けは3・3METSで、これはウォーキングや軽い筋トレに相当する強度になります。掃除機掛けの後に、床の雑巾がけを加えれば3・8METSが加わります。
日常生活では、どうしても機械等を使って省力化したいところですが、その一部でも積極的に体を動かし、エネルギー消費を増やしましょう。
どのような活動が何METSになるかは、「国立健康・栄養研究所」の改訂版『身体活動のメッツ(METS)表』に掲載されていますので、そちらを参照してください。
取材協力:生活習慣ヘルスコーチ/作業療法士 小幡茂人
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2022年3月号掲載)