マンション標準管理規約改正〈6〉修繕積立金の使途/マンションに特化した財産管理制度の活用に係る手続き(2026年5月号掲載)

 今月は修繕積立金の使途/マンションに特化した財産管理制度の活用に係る手続きについて確認する。

修繕積立金の使途

 本項に関係のある標準管理規約の条項は以下の通り。

関係条項
単棟型
 第28条
団地型
 第28条、第29条
複合用途型
 第30条、第31条
 

 本項目の改正のポイントは2つ。

 ひとつ目は、新たなマンション再生手法創設への対応。

 改正区分所有法、マンション再生円滑化法において、新たに設けられたマンション再生手法である建物の更新(一棟リノベーション)、建物・敷地の売却、取壊しの調査設計段階の支出について、修繕積立金を充当できる旨が規定された。

 二つ目は、修繕積立金の使途の明確化。

 これまで修繕積立金を充当できるか明確化されていなかった、修繕積立金の保管口座に係る帳票発行手数料や、修繕積立期の管理・運用に関する金融商品を活用する際の手数料・保証料といった修繕積立金の管理・運用に関する費用に、修繕積立金を充当できる旨を明確化した。

 また、建物及び設備の性能・機能を新築時の水準に戻す工事を指す「修繕」のほか、経年に伴う生活様式や社会環境の変化等の社会的な要因などから、建物及び設備の性能・機能を新築時の水準よりも向上させるための「改良」工事(例 環境性能・防犯性能の向上に資する玄関扉の交換、共用部分照明のLED化等)の費用についても、修繕積立金を充当できることが明確化された。

マンションに特化した財産管理制度の活用に係る手続き

 本項に関係のある標準管理規約の条項は以下の通り。

関係条項
単棟型
 第67条の4、第67条の5
団地型
 第77条の4、第77条の5
複合用途型
 第30条、第31条

 改正区分所有法では、区分所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができない専有部分、並びに専有部分の管理が不適当であり、他人の権利・利益を侵害し、または侵害するおそれがある場合(例:いわゆるゴミ屋敷や専有部分配管の腐食を放置)等について、利害関係人からの請求に基づき、裁判所が必要性を認めた場合には、本来の区分所有者に代わる管理人が選任されて当該住戸等の管理を担うマンションに特化した財産管理制度が創設された。

 標準管理規約では、このうち「所有者不明専有部分管理命令」及び「管理不全専有部分管理命令」を管理組合として活用できるようにするため、

・理事長が理事会決議を経た上で、裁判所へ管理命令を請求できること
・選任された管理人に対する管理組合への届出義務(氏名又は名称、住所又は居所及び裁判所の命令を受けてその対象である所有者不明専有部分を管理する旨/管理不全専有部分を管理する旨)
・手続きに関する費用負担

出典:国土交通省資料より抜粋

に関する規定が設けられた。

権限に大きな差

 この2つの管理制度、管理人選任の流れは同じだが(別図参照)、大きな違いがある。それは権限の差。

 いずれも改正区分所有法に規定される内容となるが、「所有者不明専有部分管理制度」は、専有部分の管理・処分権を、管理人に専属させる。そのため、所有者不明専有部分管理人は、総会の招集通知の受領、総会での議決権行使も可能とされている。改正法の立法過程で議論があったようだが、総会の決議事項では建替え決議での議決権行使も否定されないとされる。

 つまり、管理命令の対象となった専有部分(共用部分、附属施設に関する権利ならびに敷地利用権も含む)に関する権利を区分所有者は失い、管理人がそれらを行使することになる。

 一方、「管理不全専有部分管理制度」は、管理命令の対象となった専有部分(共用部分、附属施設に関する権利ならびに敷地利用権も含む)に関する管理・処分の権限を管理人は有するのの、専属する訳ではない。そのため、総会の招集通知は区分所有者宛に行われ、当然、議決権も管理人には無い。管理命令の対象となった専有部分の処分も、区分所有者の同意を経た上で、裁判所の許可を得ればできるとされている。

集合住宅管理新聞「アメニティ」2026年5月号掲載