駐車場収入の全額が管理費会計で使われているのは、おかしいと思います! (2003年4月号掲載)

Q.

築後2年、東京郊外の200戸弱のファミリー型マンションです。

先日、初めての管理組合総会があり、決算報告等がされました。それを見て驚きました。約60台ある機械式駐車場の収入が管理費として全部使われていました。駐車場収入は修繕積立金会計に入れるべきではないですか? 管理会社として悪質な業者ではないでしょうか。

A.

1.販売時のパンフレットを見ると、3段式の機械式駐車場が約60台あり、管理費は相場よりは安い上に、修繕積立金もわずかです。管理費収支予算書によると、駐車場収入は全額管理費会計の収入となっている分、各戸の管理費が相場よりは安くなっていることがわかります。
2.これは、できるだけ管理費を安く設定して物件を売りやすくしたい、という分譲主の販売戦略の一つで、一般に広く行われています。この管理会社は分譲主の意向にしたがってこのような収支予算を組み、各戸の管理費や修繕積立金を設定したと思います。これをもって、いきなり「悪質な業者」と決めつけるわけにはいきませんが、問題点を指摘しておきます。
3.機械式駐車場は日常のメンテナンス費用がかかる他に、10年後、20年後に多額の改修費用が必要になります。駐車場収入をもって、その改修費用を賄う程度の積み立てができるように予算編成をされるのが健全な考え方だと思います。

改修費用の積み立て方法はいろいろあります。いったん管理費会計の収入にした後で、一定額を修繕積立金会計に繰り入れる方法も可能です。事務処理としてわかりやすく、当該マンションに合っている方法であればよいと思います。

回答者:NPO日住協・専門相談員
久保泰男
(2003年4月号掲載)