計画修繕をサポートする マンションすまい・る債:2019年5月号掲載

 独立行政法人住宅金融支援機構は、マンション管理組合が修繕積立金を積み立てるために購入する「マンションすまい・る債」の募集を開始した
(募集概要は表1参照)。

 同債券は、毎年2月、定期的に利息が支払われる10年満期の債権(満期時には額面の金額が払い戻される)。

 4月24日(水)から応募が開始され、今年度は9月19日(木)まで受付られる。

今年度15万口募集

 2019年度は15万口(1口50万円・総額750億円)を募集。複数口の申し込みも可能で、同一口数を10年間継続して購入できる。口数の上限は、マンションで1年間に集められる修繕積立金と、前年度決算の修繕積立金残高の合計の範囲内。

 なお、発行された債券は同機構が無料で預かるため、盗難や火事による消失、あるいは紛失リスクも無い。

預け入れ金利

 2019年度に募集する2020年2月発行債券は、満期時年平均利回り0・102%(税引後0・0865%)。

債権の安全性は

 同債券はペイオフの対象外で、政府保証も付いていない。しかし万が一機構が破綻しても、機構財産からの優先弁済権があることから、安全性は高いとされている。

購入から1年以上で中途換金可能

 同債券は、債券購入時から1年以上経っていれば、1口単位(50万円+経過利息)で中途換金が可能。中途換金の場合、機構が買い取るので換金時の元本割れも無く、手数料もかからないため、共用部分の修繕工事費に充てる等、不測の事態で費用が必要になっても安心して中途換金できる。

積立て管理組合に特典有

 積立組合が同機構の「マンション共用部分リフォーム融資」を利用すると、金利が年0・2%引き下げられる。(「マンション共用部分リフォーム融資」の申込時点で積立残高があること)。
 また、積立組合が同機構の「マンション共用部分リフォーム融資」を利用する際、(公財)マンション管理センターへ保証委託する場合、保証料が2割程度割り引かれる特典もある。
 そのほか、機構が主催する管理組合向けのマンション管理に役立つセミナーの案内や公共団体、関係団体等が実施するマンション管理・再生に関するセミナーの開催情報等の情報提供も受けられる特典がついてくる。

「安全・安心」が最も多い積立理由

 同機構では、2017、2018両年度に、積立管理組合に積立理由を聞いており、その結果を築年数別に集計したところ、最も多い理由は築年数を問わず、両年度ともに「機構発行の債券で安全・安心だから」(表2参照)であった。次いで「利回りが良いから」となっている。

 また、昨年度から「共用部分リフォーム融資の金利引下げがあるから」という選択肢を追加したところ、築年数25年以上の管理組合において、この選択肢が比較的多く選ばれている。

 一般に築年数の古いマンションほど、居住者の高齢化が進み、修繕積立金の値上げが難しいという話を聞くことが多いが、そのような管理組合にとって、金利引下げの特典が、すまい・る債の購入動機に繋がる様子が見て取れる。

(2019年5月号掲載)