台所はその人の歴史を語るという 2023-8

設備は最新のものになってきても
気が付けば、調味料等の置き場所は母と同じ

 猛暑が続いています。最近の暑さは、限界を越えて来ますね。人間の体温以上の暑さだと危機感すら覚えます。子供さん達は、楽しい夏休みです。事故等に気を付けて素敵な思い出を沢山作ってください。
 さて先日、テレビを観ていたら、台所の特集をやっていました。どの局の何という番組なのかは忘れましたが、台所はそこに暮らす人の人生、歴史を語っていると伝え、実際にお宅に訪問して、その方の台所を拝見して、お話しを聞いたり、調理の様子を紹介していました。実に様々な台所があり、確かに人生や暮らしが見えて来るのかも知れません。
 私の記憶の中にある一番古いものは、母親の実家かも知れません。磨き込まれた床とちゃぶ台に座る様子が思い出されると同時に、祖母と母が並んで調理する背中が見えて来ます。薄暗く狭い所でしたが、夏休みに叔母や姉達と祖母の手作りの料理を食べていました。石の流し台に、鋳物のガスコンロです。現在から考えると不便な道具でしたが、当時の主婦達は手間をかけて美味しい食事を提供してたのでしょう。
 次に思い出させるのは、実家です。ガステーブルでステンレスの流しでしたが、現在の様に湯沸かし器は、私の幼い頃はありませんでした。ガスで沸かしたお湯や土間にあった練炭コンロで沸かした湯を使っていました。母は、一度練炭コンロのお湯を間違って足に浴び火傷をしました。その時、じゃがいもを擦って足に載せ患部に当てていたのを覚えています。四歳位の頃の記憶ですが、はっきりと覚えています。穴の空いた練炭は、もう家庭では使わないですよね。
 その次の台所は、結婚して入った社宅です。狭かったものの、初めて自由になるものでしたが、道具や調味料の置場は実家と同じでした。遊びに来た姉に指摘されました。そしてマンションを購入し置き場所はそのまま、母のものが気付くと継承されています。

集合住宅管理新聞「アメニティ」(2023年491号掲載)
【つづく】