アルミサッシの更新による居住性能向上/Tハイツ(東京都日野市):2021年4月号掲載

【マンション概要】

 Tハイツは東京都日野市、関東三不動の一つ高幡不動尊の近くに立地する。京王線および多摩都市モノレールの高幡不動駅から徒歩5分程度の交通の便に恵まれた立地環境にある。竣工は1973年(昭和48年)。壁式鉄筋コンクリート造、地上5階建て、12棟、総戸数220戸の団地型マンション。緑豊かな落ち着いた環境が維持されている。

【工事までの経緯】

 建物の竣工から48年、前回の外壁修繕工事から13年ほどが経過する。長期修繕計画において4回目となる外壁修繕工事の時期を迎えるにあたっての建物診断の結果、建物外部廻りの傷みは比較的少ない状況が確認された。居住者へのアンケート調査においても漏水や著しいひび割れといった深刻な不具合は報告されなかった。むしろ50年近く使用してきたアルミサッシの開閉不調や建付け不良、すき間風、台風などの強風を伴う降雨時のしなりや漏水を懸念する声が少なくなかった。

 当初、管理組合では修繕積立金の資金的な問題から、アルミサッシは各住戸の判断と自己負担によりその改修を実施するとの方針であった。しかしながら、居住者の窓改修に対するニーズの高まりや建物外部の劣化進行が比較的軽度な状況であることから、外壁修繕工事の時期の延伸や計画修繕工事の内容を調整することで、アルミサッシの改修が可能と判断された。

【新規アルミサッシの仕様】

 アルミサッシには「耐風圧性」「気密性」「水密性」「遮音性」「断熱性」といった基本となる性能が規定されている。耐風圧性はS-3~S-7、気密性はA1~A4、水密性はW1~W5、遮音性はT1~T4、断熱性はH1~H5といった等級で区分され、いずれも数値が大きいほど性能が高い。

 Tハイツで採用したアルミサッシの基本性能は、耐風圧性S-6、気密性A-4、水密性W-5、遮音性T-1、断熱性H-1とした。敷地の南側から北側にかけて高低差があり、一番低い棟と高い棟では実質的に5階分ほどの高さの違いが生じる。敷地の最も低い位置からすると最も高い棟で10階建て以上の高さに相当する。建物単体でみれば5階建ての中層建築物であることから、耐風圧性能はS-4あるいはS-5程度とすることも考えられた。全体のコストバランスを考慮してあまり過剰とならない基本性能を定めたが、より安全性を高めようとの意図から耐風圧性能についてはS-6とした。

 アルミサッシの改修方法は現在一般化している枠カバー工法。サッシの形式は基本的に既存を踏襲した引違いとしている。ガラスは板厚5mm・空気層12mmのLow-E複層ガラス、中桟なしの一枚ガラスとしてすっきりとした印象である。可動式網戸、サブロック付きクレセント、換気かまちといった標準部品に加え、窓を開ける際の初動をアシストするハンドルなども標準とした。

 洗面所と浴室には突出し窓が取り付けられていたが、お掃除モードという機能のあるすべり出し窓を採用することで、室内側から外側のガラスを掃除することが可能となった。

【工事の実施】

 新型コロナの感染の広がりが始まりつつあった2020年3月から準備工事として各戸の実測調査に入った。5月の1回目の緊急事態宣言が解除されたタイミングから実際の工事に着手した。アルミサッシの更新工事は在宅による室内に立ち入っての作業であるため、現場監督者や作業員の感染予防には細心の注意が払われた。作業員の体調確認や検温はもちろんのこと、消毒は手指や接触箇所だけはなく、作業で使用した養生材や上履きなどに対しても徹底して行われた。作業員にとっては夏場の時期を迎えてマスクを着用しながらの作業をしなければならず、たいへんきつい仕事であったと思われるが、一人の感染者も出さずに9月に全ての工事が完了した。

アルミサッシの更新工事作業

 工事後には「とても快適になった」「もっと早くやっておけば良かった」といった喜びの感想が多く寄せられている。住まいとしての質の向上に大きく寄与した工事であったと思われる。現在、4回目となる外壁修繕工事に向けた準備を進めており、さらなる快適性・利便性向上に向けて玄関扉の交換も検討している。

株式会社スペースユニオン 一級建築士 奥澤健一

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2021年4月号掲載)