コロナ禍の中での共用部分・専有部分の給排水管改修工事/M団地(千葉県八千代市):2021年1月号掲載

団地の概要

 M団地は、八千代市南東部の丘陵地帯にUR(旧日本住宅公団)が開発した賃・分約4,500戸の大団地の、やや中央部に位置し、総戸数640戸、RC造5階建て、21棟、1976年に分譲された築後44年の建物である。

M団地建物外観

工事の概要

 工事の主な内容としては、建物共用部分と専有部分の給・排水管の改修工事で、

 ①共通仮設工事(現場事務所、加工場等の設営)

 ②共用給水管改修工事(棟妻壁側に埋設されている制水弁以降、1階床下ピット内の配管及び各立て系統の給水管の更新)
 使用材料=水道用耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管

 ③専有部の各戸水道メーター以降の給水・給湯管の更新(隠蔽方式/床下配管)
 使用材料=架橋ポリエチレン管(耐震性に優れている)

 ④浴室・洗面・洗濯系統の雑排水管の更新

 ⑤浴室排水トラップの更生

 ⑥工事に伴う建築付帯工事(内装工事等) 

が、今回工事の範囲となっている。

 工期=2020年8月~2021年3月。工事費=6億3,200万円。施工=京浜管鉄工業株式会社(東京都豊島区目白)の責任施工。アドバイザー=管理組合顧問・くりはらマンション管理士事務所 栗原典子。室内工事日数=約5~6日。

 施工会社の選定にあたっては、設備改修専門業者6社より見積を取得し、その内3社に対してヒアリングを行い、見積金額、工法の提案内容、工事実績、熱意等々を考慮して京浜管鉄工業株式会社が選定された。

工事に至るまでの経緯

 本工事の検討には専門家が必要として、管理組合顧問でもあり経験のある栗原典子マンション管理士に支援を依頼した。同管理士より専門部会の設置が提案され、その結果、女性目線での意見も取り入れることが出来た。

 専門部会では、まず、住民アンケートで各戸のリフォーム状況及び住民からの意見を調査した。栗原管理士からの提案と協力により工事に関する広報紙を隔月発行し、住民との情報共有を重視した。また、資金計画(長期修繕計画)の確認を行い、現時点で修繕積立金の値上げはしないで可と判断した。当初、室内給水管を「露出方式」としていたが、見積工事金額が試算していた額を下回っていた事もあり、住民の意向も勘案して「隠蔽方式(床下配管)」へ基本方針を変更。改修済み住戸への対応等の検討では修繕積立金より精算を行うことにした等々、部会での方針が纏まり、5月の通常総会を経て工事が決まった。

浴室洗面系統排水管

 新型コロナウイルスが感染拡大している状況で、「今期は共用部分だけ工事を実施して、専有部分の工事は来期以降に延期する」という意見もあるが、当団地では2020年10月~2021年3月にかけて共用部分に併せて専有部分を同時に行うことになった。理由としては、現在漏水事故が頻繁に起こっている現状で、「コロナを気にしていたら、いつ再開できるか分からない」、「もし、今後漏水が起こっても結局は入室作業を行わなければならない」、「この先数年後に同じ工事金額で実施できるか分からない」、など待ったなしの状況だったので今回工事の実施に至った。

室内養生状況

工事中のコロナ対策

 工事前までは「室内工事なので工事関係者との接触が避けられなくて怖い」などの意見もあったが、施工側が万全のコロナ対策を行なうことで実施に踏み切った。水回りの工事なので、工事時間帯はダイニング、和室、洋室に養生シート等で区画して、住民に待機していただくことにより工事関係者との接触は出来る限り抑えられる。また、共用部分の工事同様に専有部工事箇所も定期的な除菌、消毒、清掃を行い徹底して感染防止対策を実施することとした。

 工事説明会においても、このコロナ禍で、地域にある大規模な公民館の会議室や学校の体育館などが借りられないこともあり、団地の集会所で開催回数を増やして、640戸の団地を1日2回、6日間で12回を少人数単位で実施した。Web開催等の案もあったが、全戸に懇切丁寧に説明する必要があり集会方式にした。また、感染防止対策としては、入場時の検温、手指の消毒、マスク着用、出来る限りソーシャルディスタンスを守ることで、徹底した。

 共用部分工事においても作業員が触れそうな箇所は定期的に除菌、消毒、清掃を行い感染防止対策を徹底することにしている。

 また、施工側では本社にコロナ対策室を設置し、工事現場で感染防止対策が確実に行われているか、定期的に現場をパトロールするほか、最新の地域コロナ感染情報や感染防止対策案を社内関係者に発信して情報共有を図っている。           

 工事はまだ半ばだが、コロナ対策には居住者側も協力的で、管理組合、居住者、施工側が一丸となり万全を期して作業を進めている。

集合住宅管理新聞「アメニティ」2021年1月号掲載