コロナ禍の中行われた第1回目の大規模修繕工事を終えて/Tマンション(神奈川県横浜市):2020年11月号掲載

建物概要

 Tマンションは、横浜市戸塚区のJR東海道本線「戸塚駅」から徒歩圏内に位置する地上7階建て123戸のマンションです。建物形状は、南北を軸とした棟と東西を軸とした棟、及び管理室、エントランス、ゴミ置場等からなる共用棟がEXP.Jを介して繋がりひとつの建物となっています。2007(平成19)年2月に竣工し築13年を経過した、第1回目の大規模修繕工事となります。また、管理組合をNPO日本住宅管理組合協議会が支援した物件です。

工事内容

 第1回目の大規模修繕工事であるため、初めて経験する居住者も多く、情報共有を心掛けました。理事会・修繕委員会では会議の開会毎にその内容を、会議に出席していない居住者の方にも分かり易くまとめた「大規模修繕委員会NEWS」を発行し、居住者への広報活動に努め、最終は30号となりました。また、工事範囲、仕様の決定後は、設計説明会を開催し大規模修繕工事に対する理解を深めました。

 工事の内容は、躯体補修、及び塗装、防水の機能回復を中心に、足場の必要な部位を優先に計画を行いました。屋上については、共用棟で既存アスファルトシートの膨れや口開きが顕著で、エントランス天井からの漏水歴もある状態でした。このため、既存アスファルトシートを全て撤去しての再防水を行いました。仕様は、改質アスファルトシート防水 冷工法2層貼りとしました。居住棟は経年相当の劣化の進行があり、延命処置の検討も行いましたが、パラペットの立上りが低く、シート立上り部の端末シールを打替えることが出来ない納まりとなっていたため、再防水を行う事としました。仕様は、改質アスファルトシート防水 トーチ工法1層貼りをベースに、冷工法、改質アスファルト塗膜防水を併用した複合工法とし、パラペット天端までシートを巻き込む納まりとしました。

 事前に実施したアンケートでは、漏水や建物躯体に関する気になる点の関する調査の他、大規模修繕工事で実施を希望する改善点や要望等の意見を募りました。回収率は95%を超え関心の高さが伺えました。このアンケートから要望の多かった「ゴミ置場庇」を工事に取り入れる事としました。ゴミ置場は、以前から「降雨時に両手でゴミをもって扉の開閉をする間にどうしても濡れてしまう。何とかして欲しい。」との要望があった案件でした。仕様は容積率の空きが0.03%しかなかったため出幅が1m以下となるアルミ製の庇を取付ける事としました。

既存パラペット立ち上がり

改修収まり

施工者選定

 業界紙の「民間公募情報」を活用し、広く施工会社を募集する事で、透明性のある施工会社の選定を実施しました。

 応募のあった15社より6社に絞り込んで見積を依頼し、見積金額の価格の低い3社へのヒアリングを実施しました。ヒアリングでは見積価格に加え、現場の品質管理、安全管理はもちろん現場代理人の経験や人柄、会社としての現場のバックアップ体制等を総合的に評価し、㈱大和に決定しました。

工事期間中

 2020年212日より工事に着手し、工事期間中は毎月1回、理事会・修繕委員会、設計事務所、施工会社の三者で現場の検査や進捗確認、改善点や提案、居住者からの要望や対応結果等の情報共有を行いました。

 途中、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により47日に緊急事態宣言が発令され、現場では、スタッフ及び作業員一人一人の健康管理チェック表を作成して現場入場者全員の健康状態を常時把握し、マスク、手洗い、うがいの徹底を行った他、三密の回避として、朝礼、昼礼でのソーシャルディスタンスの確保、休憩時間や休憩場所の分散、現場事務所内の換気と消毒、エントランスのインターホンパネルやエレベーターの操作パネル等の不特定多数の人が触れる箇所については2時間おきに消毒をおこない、感染拡大の防止に努めました。おかげで居住者、現場スタッフ、作業員とその関係者に至るまで一人の感染者も出さずに工事を無事終える事が出来ました。

設計・監理/株式会社英綜合企画設計

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2020年11月号掲載)